【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ1)

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イケボの数だけ強くなれる。ページ1

「A...」
『ひっ!や、やめ』
「やめない」

耳に息がかかるほど近い距離。
体がビクビクと跳ね上がる。

『だめ、そんなにしちゃ、ぁ』
「だめじゃなくて、もっと、だろ?」

ククク、と意地悪な顔をして笑うクロロ。

決してえっちぃことをしているわけではなく。
これは体質というか、念のせいなのだ。

私は物心ついた頃から、いわゆる"イケボ"に反応する体質だった。それが後に体質ではなく念の一種だと発覚する。

わたしの念能力"依存する愛(トクシックボイス)"は、イケボを聴けば聴くほど身体能力が上がるというもの。
つまりアホみたいな能力だ。
ただし残念なことにこれに助けられているのも事実。あと周りにイケボがいたら結構強い。

そして、なんか本人が知らないうちに制約と誓約が勝手に決まっていたのだ。まじふざけんなと思った。

制約と誓約の内容。それは、【イケボに対する禁断症状が出る】というもの。

1週間も耳元でイケボを聞かなければ気が狂いそうになるのだ。
そしてイケボを聞いた時に幸せを感じる。
そうなったら腰が抜けて立てなくなるのだ。勘弁して欲しい。

うん、ここまで聞いた人には分かるよね??
私やべーヤツなんだ(自覚あり)

そんなこんなでいつも念に関して色々クロロに頼んでいるだけど...

唯一の問題は、クロロが弄ってくること。

『くっそ、また遊ばれた』
「頼んできたのはそっちだろう?」
『確かにそうですけどね!!!!』

クロロなら大丈夫だろうし、ぶっちゃけ好みの声だ、とか思った過去の自分が憎い。

好みの声なとこは変わってないけど。

「これが"おいしい"ってやつだな」
『ん?聞こえなかった、なんか言った?』
「いいや。

...さて、続きでもしようか」
『げっ!』

急いで逃げようとするが、それを見逃すはずもなく。
あっけなくクロロの腕の中にすっぽりと入ってしまう。

『いや、あの』
「まだまだ時間はたっぷりある。じっくりと楽しもうじゃないか」

その顔はものすごく楽しそうだった。

いつか仕返ししてやるからなこんにゃろう!

_____
耳で囁けば、Aは顔を赤らめて身を捩る。
可愛いな、と心の中で呟いた。

「これが"おいしい"ってやつだな」

元々友人関係で親しかった二人。
Aがクロロに落とされる日も、きっとそう遠くはない。