【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ49)

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『ごめんなさい!遅れてしまって…』
「いや、俺も今来たところ」

クロロさんとは3年前に図書館で仲良くなり、そこからカフェで本について語るというのがお決まりになりました。
ハンターであることは秘密にしています。

でも、クロロさんが盗賊…。

「最近面白かったのはこれかな。読んだことある?」
『あ、いえ!まだです』

信じ難い事実に、少しぎこちなくなる。
ここで態度を変えればバレてしまう。自然を装わなければ。
幸い、本について語る内にペースは戻っていった。

「この後、時間ある?」
『え?』

いつもであればここでお別れするのに。

「俺の家に来ない?」
『家、ですか…?』

どうしよう。もし先ほどの尾行がバレていればと考えると、危険が大きすぎる。
でもバレていなければ、手に入る情報は多いはず。
賭けに出るか、どうか。

「どうかな?」
『…行きたいです』

＿＿＿＿＿
『ここが、クロロさんの家ですか?』
「そうだよ」

私の思い違いでありますように。
その願いは虚しく、旅団の頭がいた家に案内された。

「どうぞ」

ドアを開けて、先に入るよう促される。
私は入ろうとして、少し足が止まる。

これは入って、大丈夫、なんでしょうか?
本当に?

嫌な予感と胸騒ぎに、不安が募っていく。

『お邪魔、します…』
「はい、」

いらっしゃい。

その言葉と同時に、ドアは閉ざされた。

.

.

.

「本当はもう少し楽しみたかったんだけど」

ちょこちょこと後ろをついてくるAが可愛くて、一週間も時間がかかってしまった。

Aは確かに気配を隠すのが上手かった。
しかし、あの依頼はそもそも俺が仕向けたもの。後をつけられることを事前に分かっているとなると別だろう。

逃げ足が早いという情報も聞いていた。
確実に捕まえることを優先した。

全て、計画通りだ。

壁に貼られた無数のAの写真を眺めて呟く。

「残念、監視は俺の方が上手かったみたいだ」