【H×H】クロロに愛されるだけ【短編集】 (ページ47)

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私の好みページ47

「困ったな。どうしたら俺を見てくれる?」

クロロ、と名乗った男は私を見てそう言った。
数週間前から、私の前に現れては宝石やらなんやらを渡そうとしてくるこの男。
顔が抜群に良く、女受けも良さそうな性格をしている。
何を思ったのか、私の気を引きたいらしい。

しかし、私はそれだけでは靡かない。
肝心のところを見せてないのだ、この男は。

『私の好みを全く理解してないです』
「その好みは教えてくれないの?」
『教えたら絶対落ちるから教えません』

確実に落ちる。既に私の好きな"もの"を彼は持っているからだ。
彼に気付かれたら終わりだった。

ある雨の日のことだった。
傘をさして会社から帰宅していると、いつも通りクロロの姿が見えた。
しかし彼は傘をさしていない。

『ずぶ濡れじゃないですか!』
「あぁ、大丈夫だよ」
『大丈夫じゃないです!!』

私を待っていて風邪を引いたなんてことになれば、きっと心地が悪いだろう。
普段は追い返すところを今日は家へ引き入れた。

『早くお風呂入ってくださいよ。風邪ひきます』
「風邪なんて引かないよ。けど、ありがとう」

そう言って、彼はお風呂場へ向かった。

問題なのは彼が出てきた時だった。
服は濡れていたので着ず、上半身は裸だ。
…まずい。

『タオルかなんかで隠してくださいぃ』
「え?…へぇ」

彼の驚いた顔は、すぐに意地悪なものに変わる。
思わず顔を逸らした。

「ね、こっち見てよ」
『見ません』

目を瞑る。
すると、唇に何か当てられるのを感じた。

え。

『今の…』
「目瞑ってたからキス待ちかと思って」

なんてね、と冗談ぽく笑う彼。
そして、視線を落とすと、割れていて引き締まった腹筋が。

あぁ、落ちた。

「顔、真っ赤。初めて良い反応が得られたな」

キスしたから?いや、少し違うか。
クロロは嬉しそうに話し続ける。

「俺の体に惚れちゃった?」
『………はい』

バレた。
その通り、私は筋肉質な人がタイプだ。
今までクロロは服を着ていたのでやり過ごせていたのだ。

「好みってこれか。もっと早く脱いでおけばよかったな」
『うぅ…』

そもそもどうしてこんなに筋肉がついてるんだ。鍛えてるんだろうか。

「…A、気づいてる?」
『?』

突然の問いかけに頭が回らなかった。

「今この家には俺と君の2人きりってこと」

徐々に壁へと追いやられていく。
とうとう背中がぶつかるのを感じて、逃げられないと悟った。

「もっと惚れてもらわないとな」