33. ほんとはこわくてしょうがないよ。 ページ36
バタバタと倒れていく客と、主催者。
ピリピリと空気が震えるのを感じた。これが、覇気…。
「さあ、首輪を外そう」
『…うん、おねがい』
「そう怯えることはない」
『怯えてないっ』
言い返すと、そうだったかと朗らかに笑う。面白がってるな、このじいさん。
ああそうだよ、怯えてるよ。
だってこの首輪、爆発すれば首と体がおさらばだもの。レイリーのことは信じているが、怖いものは怖い。
ピッピッピッ
無機質な音が鳴りはじめる。
早まる心臓の鼓動、震える体。じわりと汗が滲んで、ぎゅっと目を瞑って恐怖に耐える。
「大丈夫だ、私に任せなさい」
『…ん』
ピピピッ＿ドカァーン!!!!
爆発音が耳を貫く。はっ、と浅く息を吐いた。
もしあれが、私の首元で爆発していたら＿＿。
ぐっと息を飲み込んで、なんとか笑みを貼り付ける。大丈夫、私は助かった。平常心、平常心。
「君の荷物はこの中にあるか?」
『あ…デンちゃん!!よかった、無事だったんだー…』
「ふむ、電伝虫が…懐いているな?珍しいこともあるな」
電伝虫は餌と安全が確保出来るため、人に使われることをよしとしている。
いわばお互いに利害が一致するから一緒にいるだけだ。
扱いが悪ければ逃げ出すこともある。
良ければ大人しく使われるだけのケースが多い。
そう、こんな風に“何油断してんだよ”、とぷんすか怒って心配してくるのはレアケースである。甲斐甲斐しく世話してるからかな。嬉しいね。
「さァて、金も盗んだし、一度帰るとするか」
『え?あ、あのう、海楼石の手錠の鍵って…』
「はっはっはっ、まぁまぁ、気にするんじゃない」
『いやいやいや』
私歩けないんですけど。手錠の鍵持ってますよね?
え、ちょっと頼りすぎた?確かに助けてもらってばっかだし…私の持ち合わせでなんとかお礼にならないかな…。
『、わっ!!』
困惑している私を担いで歩いていく。んん、分からない。
『えーと、お金なら少ないけど払えるよ?助けてもらったし』
「お嬢さんから金を巻き上げるほど腐っちゃいないさ」
『えー?店からは盗むのに?』
「あんな店の金なら私が使った方が有意義だ」
『ギャンブルに注ぎ込むのに??』
「…ん?聞こえなかったな、最近耳が遠くなっていてね」
うそつけ。
続く (更新停止中)
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睡蓮(プロフ) - なんかもう言葉にできない程に好きです！更新待ってますぅ!! (2022年12月29日 18時) (
レス) id: 4c669c7bad (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - めっちゃ面白かったです！これからも無理せず頑張ってください (2022年12月29日 5時) (レス) @page36 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
みーこ★(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2022年12月15日 1時) (レス) id: 2a810c9fcc (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて好きです！更新頑張ってください！ (2022年12月14日 7時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
あいす・こーひー(プロフ) - めっちゃ好きです！初めて見た時から何回も読み返してました！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！！ (2022年12月13日 23時) (レス) @page36 id: ca65da3012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2022年12月9日 3時
