27. わたしが、お姉さんを守るの。 ページ30
崩壊したエレジア。
突然の惨劇に、国民達は戸惑い立ち尽くした。
だが、誰も国が滅びた瞬間を覚えていなかった。
どうして…いや、理由は分かりきっている。
あの日来訪した赤髪海賊団だ。国王ゴードンもそう言っていた。
高価だった楽器は壊れ、次の発表会で弾くつもりだった楽譜は燃えてしまった。
許せない、と誰もが怒りを顕にした。
それでも我々は音楽を愛する民である。
きっとすぐに演奏会ができるさ、と励まし合い、国の復興作業に取り掛かった。
《『その笑顔の意味すらわからなくて＿』》
「…A」
言葉遊びをしながら人の弱さを歌う繊細な歌詞。
わざと崩したリズム、耳に残る不協和音。
それらを使いこなし、それでいてひとつのメロディに纏まっている。
今までにないような、癖になる曲ばかりだ。
Aは、すごいなぁ…。
青い海と曇った空の境界線を眺めながら、電伝虫から聞こえる歌声に耳を傾けた。
わたし、何してるんだろう。
こんなところで待ったって、シャンクスはこないのに。
…そう、シャンクスはもう、こないのだ。
目が覚めた時には、赤髪海賊団は私を置いて出航していた。皆は積まれた宝箱に座って、酒を持って笑っていた。
泣き叫んでも、声は届かなかった。
エレジアの人はわたしに優しくしてくれるけど、心にぽっかりと穴が空いたように、満たされることは無かった。
ロクに返事も出来ないわたしを可哀想だと言って、次第に声を掛けることがなくなっていった。
シャンクス、どうして。
そんなことばかりが頭の中をぐるぐると巡る。
「ねえ、ゴードンさん。Aは?」
「彼女は危険を顧みず、あの海賊からエレジアの国民を避難させてくれた。そして君を私に預けたのだ。
“私がウタを連れても危険に晒してしまう。預かってほしい。そして音楽の才能を育ててほしい”と」
Aは、わたしの尊敬する人だった。
歌が上手くて、可愛くて、優しい目をしたお姉さん。
作ったお菓子を誰にもあげないといいながら、結局皆にあげちゃうような、甘いひと。
わたしの、大好きなひと。
《『非力で無力な僕だって なにかには成れるはずさ＿』》
わたし、勉強がんばるよ。
歌の練習もいっぱいする。
いつかきっと…ううん、絶対、Aと同じステージに立てるように、がんばるから。
「だから待っててね、A」
28. アン、ドゥ、トロワッ！！→←26. どこか静かな島へ逃避行しよう。
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睡蓮(プロフ) - なんかもう言葉にできない程に好きです！更新待ってますぅ!! (2022年12月29日 18時) (
レス) id: 4c669c7bad (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - めっちゃ面白かったです！これからも無理せず頑張ってください (2022年12月29日 5時) (レス) @page36 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
みーこ★(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2022年12月15日 1時) (レス) id: 2a810c9fcc (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて好きです！更新頑張ってください！ (2022年12月14日 7時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
あいす・こーひー(プロフ) - めっちゃ好きです！初めて見た時から何回も読み返してました！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！！ (2022年12月13日 23時) (レス) @page36 id: ca65da3012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2022年12月9日 3時
