22. 少女は無邪気で大人びた女である？ ページ25
「よかったのか、お頭」
「…あァ」
ありがとう、と笑顔で手を振り、去っていく無防備な背中を見送る。
不思議な奴だった。
無知で無垢な少女と、落ち着きのある達観した大人の女が混ざりあったような…どこかチグハグさを感じさせた。
そこらにいるような女とは、何かが違った。
何が違うんだろうな?だが勘がそう告げるんだ。
「借りがある以上、手は出せねェよ」
「情ねェもんだな」
「うるせー」
世話になった恩がある分、仇で返すような真似はできない。
困ったもんだ、心底“アレ”が欲しいってのに。
「お前も気付いてただろ、ベック。あいつは健気で可愛い奴さ」
余裕綽々といった表情、海賊であろうと利用する態度。
…そして、瞳の奥に見え隠れする不安と怯え。
俺達に話し掛けられただけでそういった色を見せたんだ。船に乗るなんて怖かっただろうにな。
小動物みてェに弱々しい気配で、必死に警戒して身を守っていた。
彼女は気付かれるとは思っていなかっただろう。
実際上手く隠し通せていた。
ただ、俺達には通用しない。
戦いではそういった心理の読み合いが肝になるからだ。その辺は敏くなっている。
怯えてるくせに虚勢を張ってはこちらを振り回し、かと思えば縋るように見上げてくる。
いわば強者に守ってもらおうと媚を売る弱者。
だが、決して不快になることはなかった。むしろそのまま手篭めにしてやりたいと思うほどには気に入っていた。
おそらく恩を売ったのも、何かあった時に助けてもらうためだろう。そんなことせずとも、船に閉じ込めて守ってやったのに。
「まァな。ありゃまずい。ベッドの上ででろでろに甘やかしたくなる」
「はァー??ダメだダメだ!!お前は手を出すな」
「同意を求めたのはそっちだろう」
やはり最大のライバルはうちの副船長になるらしい。…いや、あの様子じゃこれからもっと増えるな。今でさえ世界中に彼女のファンがいる状態だ。
「あー!!やっぱ無理にでも引き止めりゃよかったなァ!?敵が多すぎる…!!」
「やれやれ、今更後悔しても遅いだろうよ」
はあ、と呆れた溜息を吐くベックを無視して頭を抱えた。今になって心配になってきた。
彼女は妙なところで無防備で世間知らずだった。
すぐに悪い海賊に目をつけられちまいそうだ。
まあ、俺達に目をつけられてる時点で、ちと気の毒かもしれないな。
23. 赤髪に頼りたがってる自分がいる。→←21. この光景U〇Jのショーで見た。
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睡蓮(プロフ) - なんかもう言葉にできない程に好きです！更新待ってますぅ!! (2022年12月29日 18時) (
レス) id: 4c669c7bad (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - めっちゃ面白かったです！これからも無理せず頑張ってください (2022年12月29日 5時) (レス) @page36 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
みーこ★(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2022年12月15日 1時) (レス) id: 2a810c9fcc (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて好きです！更新頑張ってください！ (2022年12月14日 7時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
あいす・こーひー(プロフ) - めっちゃ好きです！初めて見た時から何回も読み返してました！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！！ (2022年12月13日 23時) (レス) @page36 id: ca65da3012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2022年12月9日 3時
