19. こわぁい虎さんだった。 ページ22
あたりはガラクタだらけ。見るからに不衛生で時折カタギじゃない見た目の男が通りかかる。治安は悪そうだ。
ここはゴア王国の貴族街でいらなくなったものが流れ着く場所。
グレイ・ターミナル。
通称“不確かな物の終着駅”。
…名前、かっけぇな??
「…お前、誰だ」
『んー?ふふ、別に誰だってよくない?』
「いいわけあるか!!チッ、いくぞサボ」
「お、おう」
たまたま見かけた少年2人。
見覚えがあったため、つい声を掛けてしまった。“その電伝虫よりこっちの方がちゃんと働くと思うよ”と。
うちのデンちゃんが特殊すぎて、色々調べているうちに、電伝虫には詳しくなったのだ。
『2人はこの近くに住んでるの?』
「うるせェ、ついてくんな!!」
『森は危ないよー、こわぁい熊さんが襲ってきちゃう』
「なんかマイペースな人だなー…」
ガラクタを持って、2人は森へ向かう。
私がついてくると察した少年たち＿エースとサボは、私を撒くために走り出す。
素早い動きだなあ、と感心しながら、なんとか見失わずについていく。相手が子どもだったのが幸いだ。
「クソッ、どこまでついてくんだよ…!!」
「エース!!そっちはダメだ!!」
逃げたエースが向かった先には、大きな虎が。
…虎ぁ!!?え、どうしよ!?いや助ける以外ないけど!!
『ッよっと!!』
飛びかかる虎の前にいたエースを抱え、その勢いのまま横に倒れ込んで避ける。邪魔をされた虎は不機嫌そうにガルル…威嚇の唸り声をあげた。
『ゴメンね、君のナワバリを荒らすつもりなんてないよ』
出来るだけ穏やかな声を作り、刺激しないようにゆっくり立ち上がる。動物に言葉は通じない。
だが、表情と声は伝わる。
じっと私を見つめた虎は落ち着きを取り戻したようで、仕方ないなとでもいうようにその場を去っていった。
んんんよかったァ!!
腹の空き具合によっちゃ、危なかったかも。
『はー…これ貸し一つでいい?』
「まずお前が追ってくるのが悪いんだろ!?」
『あはは、じゃあ助けたのでチャラにして』
「ちゃっかりしてるなあ、お姉さん!でもすごかった!!」
チッとまたひとつ舌打ちをするエースと、笑顔を見せるサボ。…サボ、君さては年上キラーだな。
“お姉さん”と言われてキュンときちゃった。
「なあ、名前なんて言うんだ?」
「おい、サボ!!」
「いいじゃねェか。いい人だぞ、たぶん」
『Aだよー、よろしくね』
すぐにここを立つし、もう会わないかもしれないけど…顔見知りにはなっておきたかったから成功かな。
20. 船に乗る≠仲間になる→←18. 後日ぎこちなさを指摘された。
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睡蓮(プロフ) - なんかもう言葉にできない程に好きです！更新待ってますぅ!! (2022年12月29日 18時) (
レス) id: 4c669c7bad (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - めっちゃ面白かったです！これからも無理せず頑張ってください (2022年12月29日 5時) (レス) @page36 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
みーこ★(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2022年12月15日 1時) (レス) id: 2a810c9fcc (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて好きです！更新頑張ってください！ (2022年12月14日 7時) (レス) id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
あいす・こーひー(プロフ) - めっちゃ好きです！初めて見た時から何回も読み返してました！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！！ (2022年12月13日 23時) (レス) @page36 id: ca65da3012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ
| 作成日時：2022年12月9日 3時
