六 ページ7
『いらっしゃいませ!』
笑顔を心掛け、大きめの声で言った。
私はバイトをすることに決めた。
何せ金がない。
元より裕福でない家庭育ちだ、親に迷惑をかけるわけにはいかない。
せめて自分が使うお金は自分で稼がなくては。
因みにめちゃくちゃ貧乏というわけでもないし、今まで不自由はなく幸せで不満はなかったので心配は無用。
ということで始めました、夜のコンビニ店員。
いやしんどい。仕事多すぎ。初めてのバイトで選ぶものじゃなかったなって思う。働くからには頑張るけどね!!
『袋にお入れしますか?』
「ぃ…な…」
なんて!?
『申し訳ありません、聞き取れず…もう1度言っていただけますか?』
「あ!?いらないっつってんだよ!!」
『ひぇ…』
最初からその声量で来いやボケナスが。
おっと、口がつい悪くなってしまった。
悲鳴と気持ちが一致しない。
少し怖かったが鬼に比べればなんてことないし、イラッとしたが駄目だと思い笑顔を浮かべた。
『申し訳ありません。こちらレシートになります』
「…」
その客は苛立ちを見せながら無言で去っていった。
イライラすんのはこっちじゃ!!二度と来んなばーか!!
笑顔のまま心の中で悪態をついた。接客って大変だなぁ。
「Aちゃん今日はもう上がっていいよー!お疲れ様!」
『あ、はい!お疲れ様です!』
さて、帰ったらレポートしなきゃ。
.
「310円になります」
残業を終わらせ、近くに寄ったコンビニでお茶とスイートポテトを買う。
これが美味くていつも買ってしまう。
こんな美味いものを手軽に買えるとは、現代の日本は凄くなったものだ。
「袋にお入れしましょうか?」
「ああ!頼む!」
「かしこまりましたー。こちらレシートになります」
「うむ、ありがとう!」
「ありがとうございましたー!」
帰ったらワークプリントを作成しよう。
旧石器や縄文、弥生時代を苦手とする生徒が多いようだからな。彼らの弱点克服の手助けはきちんとせねばなるまい。
そう考えていると、店の裏から声が聞こえた。
「Aちゃん明日も入れるー?」
A!?
…いや、同じ名前なだけで違う人だろう。
いけないな、彼女関連のことに反応しすぎてしまう。
はい、というその返事すらAの声に聞こえて仕方がない。
たったの二文字で判断できるわけないというのに…頭の次は耳がやられたかもしれん。
ワークプリントは今日中に仕上げようと思っていたが、もう早めに寝るとしよう。
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ナキサ(プロフ) - 飛鳥さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございました! (2021年11月22日 19時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - ものすごい大作に出会ってしまいました……ありがとうございますありがとうございます… (2021年11月22日 9時) (レス) id: d3040dc27e (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - あまねさん» 読んでくださりありがとうございます!楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。 (2021年11月15日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年11月14日 9時) (レス) @page23 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - meruriさん» コメントありがとうございます!感動していただけれ嬉しいです (2021年10月28日 22時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2021年3月5日 14時