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伍拾陸 《煉獄視点》 ページ8

「…?」

俺は何を…。

「どうした!こんなものか杏寿郎!全力でかかってこい!」
「!はい、父上!」

そうだ、父上と稽古をしていたのだった。
相変わらず父上は厳しい。
しかし、それがなんだというのだろう!
寧ろ過去のことを思うと、嬉しいものだ!

それからひたすらに打ち込みに行った。

「千寿郎、来なさい。次はお前の番だ」
「はい!父上!」

父上は千寿郎にも熱心に教えるようになった。
竹刀を必死に降る千寿郎と、それを教える父上。

その光景を見ていると、本当に変わったのだと実感する。

『終わりました?』
「A!」

Aがひょこっと現れた。
菓子を用意してくれたらしい。

『お父様と千寿郎くんも食べていきませんか?』
「いい。せいぜい二人で楽しめ」
「そうですよ姉上!」
『?はい、二人の分も残しておきますからね』

Aは首を傾げながら返事をした。
どうやら気を使ってくれたらしい。

「む、大福か!」
『さぁさぁ、食べてみてください』
「はは、そう急かさないでくれ!」

手のひらの半分ほどの大福を、口に入れる。
む、これは…!

『中にさつまいもが入ってるんですよ』
「わっしょい!わっしょい!」
『さつまいもは大好物ですもんね、』

杏寿郎さん。

そう可愛らしく笑うAに、不思議なまでの歓喜と、そして違和感。
しかしその違和感は瞬きのうちに消えた。

Aは既に目線を俺から外し、大福を小さな口でちまちまと食べている。

何もおかしくはないだろう?
いつも通りだ。俺は何に引っかかったのか。

『杏寿郎さん?どうしました?』
「…いや!何も無い。幸せだと思っただけだ!」
『そうですね、幸せです』

ああ、幸せだ。
このまま続けばいい。

「ついているぞ」
『あ…』

Aの頬に付いたさつまいもの餡を人差し指で掬って口に含む。
うむ、うまいな。

Aは意外と子供っぽいところがある。
しっかり者という第一印象だったが、実際は末っ子気質らしい。
ついつい世話を焼いてしまいたくなる。

『な、なんで食べてっ』
「うまいぞ?」
『そういう問題じゃないです!』

こちらを睨むA。
Aはあまり感情が顔に出ないが、よく見ると耳が赤い。

ああ、愛いなぁ…。
はやく、俺のものにしたい。

「…ははっ、」
『どうしました?』
「俺は、君がいないと生きていけないな」

きょとんとした表情のAを抱き締める。

「どこにもいかないでくれ」

そう縋るように言えば、Aは小さく頷いた。

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Haruka(プロフ) - 煉獄さん推しなのでとても感動しました。 (2021年9月10日 22時) (レス) id: c2932dcf70 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - 蓬莱寺さん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - すみっコぐらし好きの隅華(仮)さん» すみません、中々時間が取れなくて…!!続きを待ってくれているのはとても嬉しいです、ありがとうございます! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 続き気になります。更新楽しみにしてます (2021年1月12日 8時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
すみっコぐらし好きの隅華(仮) - 早く更新して下さい!お願いします!m(_ _)m (2021年1月6日 20時) (レス) id: d6919b39a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年12月19日 2時

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