【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

陸拾玖 ページ22

周囲は崩壊していた。
私たちがいたところだけを除いて。
なんとか守りきれた。宇髄さんも腕と目を負傷していない。

「Aも技の精度が更に上がったな。おかげで俺達は無傷だ！
ただ黄色い髪の少年と猪頭少年は毒をくらっている」
『宇髄さんもです』

思った以上に危険な様子だ。
毒の耐性があるとはいえ、鬼の毒だし。
解毒剤も効かないようだ。

「最期に言い残すことがある。俺は今までの人生…」
「天元様死なせたらあたしもう神様に手を合わせません！！」

死なないでーっ！と須磨さんが騒いでいる。
そしてそれを止めるまきをさん。

死に際に言い残せないのつらすぎん？
聞いてあげて？今回は死なないけど。

「むー」

そこに禰豆子がひょこっと現れた。
そして術を発動。宇髄さんが燃え上がった。

「いくらなんでも早いです、火葬が！まだ死んでないのにもう焼くなんて」
「ちょっと待て、こりゃ一体どういうことだ？毒が消えた」

善逸と伊之助も毒は消えたらしい。

「禰豆子の血鬼術が毒を燃やして飛ばしたんだと思います、俺にもよくわからないのですが」
「こんなこと有り得るのかよ、混乱するぜ」
『禰豆子ちゃんすごい』

よしよし、と頭を撫でれば、自慢げな表情だ。
きゃわわ！！！

『鬼の首を確認してきますね』
「あ、俺も行きます！」

平然を装い探しに行く。
炭治郎には多分装えてないな。匂いでバレてる。しょうがないだろ禰豆子ちゃん可愛すぎるから。

途中で血溜りを見つける。
それを採取した。

『よろしくね、珠世様のところへ』
「にゃーご」
「Aさんも珠世さんのこと知っているんですか？」
『うん、二年前に色々お世話になってね』

童磨の件で。

猫に採取した血を預ける。
上弦の血があれば相当役に立つだろう。

気配が強い方へ歩いていくと、鬼の兄妹は喧嘩していた。

「この役立たず、強いことしかいい所が無いのに、何も無いのに。負けたらもう何の価値もないわ、出来損ないの醜い奴よ！」

「ふざけんじゃねぇぞ、お前一人だったらとっくに死んでる。出来損ないはお前だろうが、弱くて何の取り柄も無い。お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ。
お前なんか生まれてこなけりゃ良かっ…」

炭治郎が口を塞ぐ。

「嘘だよ。
本当はそんなこと思ってないよ、全部嘘だよ」

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