【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

伍拾壱 ページ3

「何も、見えなかった…」

いやまぁ柱としてのプライドがね。
炭治郎は何が起こったかわからない様子だ。

「善逸と伊之助はなにか見えたか？」
「い、いやいやいや！
気づいた時には炭治郎お茶被ってたしAさんは始まる前の姿勢に戻ってたし、いや凄すぎない！？
柱ってみんなこうなの！？」
「悔しいが何も見えなかった…！」

かまぼこ隊はみんな見えなかったらしい。
よかったよかった。
私を尊敬してくれてもいいんだよ、ふふん。

「Aさんは柱の中でも相当な実力者。
中でも速さは随一なんですよ」
『過大評価です…』

しのぶさんにべた褒めされて照れる。

『君達も鍛えればきっと私以上に強くなれますよ。訓練頑張ってね』
「はい！」
「いや無理だって…」

さてさて、そろそろ任務でも来るかなぁ。
そう思い立ち上がって外に出る。

「Aさん」
『？はい』

しのぶさんは改まった表情で私を見た。
そして頭を下げる。…ん！？

『あ、あのっ』
「姉を、胡蝶カナエを助けて頂き有難う御座いました」
『…え？』

ずっと礼を言いたかったんです、としのぶさんは言った。

「姉さんが教えてくれたんです。もしもAさんが居らず、1人であったなら、私は死んでいたでしょうと」
『それは…』

原作ではそうだった。
カナエが童磨に殺され、しのぶさんはカナエさんの意思を継ぎながら復讐を胸にした。

「姉さんは確かに戦えなくなった。でも、生きているから、生きているだけでいいんです。
戦えなくなったなら私が姉さんの意思を引き継げばいいから」

本当にありがとう、と言うから、私はその礼を素直に受け取った。
しのぶさんは、もう大丈夫だ。

『お願いをしてもいいですか』
「お願い、ですか？私ができることでしたら」
『藤の毒を研究している方がいます。鬼舞辻無惨を倒すために』

私が願うのは、珠世様としのぶさんの毒の共同開発だ。

「その方と協力をすればいいんですね」

カナエさんが殺されていない今、原作よりは鬼に対する怨みは薄いはず。

しかしそれは原作に比べて、だ。
これまで家族や継子を鬼に殺されているため、やはり鬼は嫌いだろう。

『その方は鬼なんです』
「…！」
『今は鬼舞辻からの呪いを外し、人間を食べずに輸血と称して人間から買っているそうですよ』

人を食わないぞアピールはしておく。大事。

『考えておいてもらえますか？』
「…はい、分かりました」

毒を早い段階で開発するのは重要だ。
だって全員生存ルート目指したいし！

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