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陸拾壱 ページ14

『2度も上弦を逃がしてしまうとは…不甲斐ないです…』

やっぱり落ち込むものは落ち込むのである。

あれから蝶屋敷で世話になり、1週間で蝶屋敷を退院。そこまで怪我が酷くなかったからね。
まぁまだ任務に行くな、安静にしろって言われてるけど。

そして当然のように煉獄家に帰ってきた。
もはや居候か?
一応屋敷与えられてるんだけどな。

お父様と千寿郎くんにめちゃくちゃ心配され、そして今は煉獄さんと夜空を眺めています。
うん、やっぱり夜は落ち着く…。

「そう言うな!君がいたお陰で俺は五体満足で酷い怪我なく帰ってこれた!」

確かに煉獄さん生存ルートはよくやった。推しを守った。私頑張った。褒めよう。すごいぞ。

そうは言うものの、やっぱりもっと力が無ければ全員生存なんて程遠い。

そもそも今回だって煉獄さんがいなければ絶対死んでた。
互角に戦う位はできたかもしれないが、再生速度の差が大きすぎる。

やっぱ鬼って強ぇな。ずるい。

はぁ、と溜息を吐いた。

「珍しく落ち込んでいるな。幸せが逃げてしまうぞ」
『深く吸えば戻るのでいいんです』
「なるほど、君らしいな!」

おいおいどこに私らしさを感じた?

どうにも気持ちが沈んでいる。
なんでだろう、と考えた時に一つ思い当たる。

煉獄さんが死ぬかもしれなかったことだ。

ふと急所に拳が貫通した煉獄さんが脳裏に浮かぶ。
漫画でも映画でも号泣した記憶しかない。

今も思い出しただけでちょっと泣きそう。

『ちょっと失礼します』
「む?何をするつもりだ?」

隣に座っていた煉獄さんに体を向ける。
そしてそのまま抱きついた。

「よもや、A!?」

はちゃめちゃに動揺している煉獄さんには申し訳ないけど、中々に落ち着くな。
鍛え上げられてがっしりした身体。推せる。
あと流石炎柱、あったかい。

胸の近くに頭を預ければ、心臓の音が聞こえてくる。

あぁ、生きてる。

「A」
『ごめんなさい、もう少し。もう少しだけ』

もう少しこうしていたい。
じゃないと涙が零れそうだ。

「…少しと言わず、いつまででも構わない」

大きな腕が私を包む。
優しいなぁ。

その言葉に甘えて私は、もう少しだけと、何度も心の中で呟いた。









本当は死なないでって縋りたかった。
でも困らせてしまうのは分かってるから。

死を覚悟している私が、それを求めるわけにはいかないから。

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Haruka(プロフ) - 煉獄さん推しなのでとても感動しました。 (2021年9月10日 22時) (レス) id: c2932dcf70 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - 蓬莱寺さん» ありがとうございます!!更新頑張ります!! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - すみっコぐらし好きの隅華(仮)さん» すみません、中々時間が取れなくて…!!続きを待ってくれているのはとても嬉しいです、ありがとうございます! (2021年1月12日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 続き気になります。更新楽しみにしてます (2021年1月12日 8時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
すみっコぐらし好きの隅華(仮) - 早く更新して下さい!お願いします!m(_ _)m (2021年1月6日 20時) (レス) id: d6919b39a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年12月19日 2時

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