【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】弐

伍拾玖 ページ11

「お前も鬼にならないか」
『なりません』

出たよ、まさか私が言われる時が来るとは。
強さを認めてくれるのは嬉しいけどね！

「お前も杏寿郎も素晴らしい剣技を持っている。それが失われることが俺はとても悲しい。
鬼になればそうはならない」
『そうでしょうか。私は失われるからこそ尊いものだと思います』

それに剣技なら受け継いでいくことも出来るし。わざわざ鬼になる必要は無いかな。

「…そうか、鬼にならないのなら殺す」

そうして猗窩座は構えを取る。
ここからは一瞬の油断が命取りだ。

私も構える。
大丈夫、連携は煉獄さんとが一番やりやすい。勝機はある。

「破壊殺・羅針！！」
「壱ノ型＿＿不知火！！」

二人の技がぶつかり合う。
熱波が周囲に沸き起こる。両者とも力の強さが凄まじい。
私はサポート中心にいこう。

「破壊殺・空式！！」
『参ノ型＿＿極夜渦』

空中から広範囲に繰り出される攻撃を、大きな渦で受け止める。
距離があっても一瞬で衝撃波がこちらへ来る。厄介だ。

煉獄さんもそう思ったのか、一気に間合いを詰める。

「この素晴らしい反応速度！やはり殺すには惜しい！」
「弐ノ型＿＿昇り炎天！！」

大きな炎が円を描く。
それを猗窩座は僅かに後ずさり避けた。
…攻撃に転じるのが早い。しかしその前に。

『伍ノ型＿＿闇夜の一刻』
「ッ、なんて速さだ！！やはりいい！お前らは鬼になるべきだ！その資格がある！」

あと少しのところで避けられる。
私の刃は深く体を切り裂いたが、それでも頸までは届かない。

その後も二人で連撃を入れていくが、それでも決定打は与えられない。
寧ろ気をつけなければ酷いしっぺ返しが来るだろう。

流石、武道を極めているだけはある。
柱2人でも頸を切り落とすのは困難極まる。

戦えてはいるし、こちらの怪我もまだ酷くはないが…。

「無駄だ。杏寿郎、A。
お前らが与えた素晴らしい斬撃も全て完治してしまった」

鬼になろう、と未だ誘い続ける猗窩座。
思ったけど一応許可は取ろうとするんだね。

私は目線を一瞬空に向ける。夜明けが近い。

できれば倒したいが…。
痣も出ていない私達では実力不足だ。
戦っていて分かる。私達の攻撃が通用していない。

ここは諦めよう、このまま生き残るのが最低限の目標。
痣者になってリベンジを果たすしかない。


そう思っていたら煉獄さんが構えた。

…おいおい待てその構え奥義煉獄だろちょっとまて！！
アー！！！このシーン嫌な思い出しかない！！！

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