参拾 ページ32
『挨拶が遅れて申し訳ありません。AAと申します』
「…」
内心ガクブルしながら土下座した(*正確には頭を下げただけである)。
しかし返ってきたのは無言。えぇ、どうしよ。
会話が続かないと落ち着かないタイプのコミュ障なのでキツイ。
目の前にいるのは、煉獄さんのお父様__煉獄槇寿郎さんだ。今は酒を手に寝そべり、顔は逆方向を向いている。
『千寿郎君と、料理を用意させていただきました』
千寿郎君が父上へ料理を作るとのだと言っていたので、その役目を私が奪い取った。
うん、料理が出来るのかって?出来ないよ殆ど全部手伝ってもらったよごめんねこんなダメ女で。火の付け方も知らんかったよ。
とにかくお父様に挨拶だけはしたかった。勝手に居座っちゃってるし。
煉獄さんは中々お父様に会わせてくれなかったから、留守中を狙いました。
えぇっと、こっから何を言えばいいんだ。
『杏寿郎さんのご厚意でここに居座らせていただいていますが、その…』
待て待て。あぁもう喋る内容決めてから来ればよかった!!(アホ)
あとさりげなく推しを名前で呼んでしまった。勝手にごめん煉獄さん。でもこの人も煉獄なんだもの。
「…帰れ」
『え?』
「聞こえなかったか。帰れと言った。大体なんの権限があって、あいつは他人を家に引き入れている。こんな得体の知れぬ女に現を抜かすなどとんだ恥だ」
槇寿郎さんは先程まで黙っていたのが嘘のように、息子への嫌味を口にした。
そして続け様に情けない、どうせ大したものになれんと罵倒し続ける。
「柱になるだなんだと言っているが、それがなんだ。あいつは、」
『煉獄さんは!!!』
次々と紡がれる、煉獄さんを見下す言葉を聞きたくなくて、考えるより先に反論してしまった。
『…煉獄さんは、強い方です。
努力家で、私にも厳しく指導してくれて、それ以上に自分に厳しい強い方です。命を幾つも救ってきた、尊敬できる方です。
こんな得体の知れない女でさえ善意で置いて下さる優しい方です。私の命の恩人です。
彼を、悪く言わないでください』
槇寿郎さんは、暫く黙っていた。
そしてまた「帰れ」と言い、今度はそれ以上口にせずに酒を飲み始めた。
『…失礼します』
私はお辞儀をして、そのまま退出した。
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時