拾漆 《鱗滝視点》 ページ19
剣士の才能に溢れた子。
そしてそれ以上に勤勉であり、冷静に物事に対応できる。
それが儂が見た、AAだ。
“略啓 鱗滝左近次殿
鬼殺の剣士になりたいという少女を向かわせました。三時間もの間、武器も持たずに鬼に立ち向かったと聞いています。
呼吸法を学びたいとの相談を受け、育手として貴殿を紹介しました。もしかしたら鬼殺隊にとって重要な剣士になるのではないかと思わせる何かを私は感じました。
どうか育てて頂きたい。
手前勝手な頼みとは承知しておりますが、何卒ご容赦を。
ご自愛専一にて精励くださいますよう、お願い申し上げます。
草々 富岡義勇”
そう書かれた手紙を受け取ってから1週間。
漸く少女が訪ねてきた。
挨拶もしっかりしていて礼儀正しい。
ただ、迷子でしたと焦ったように言う辺り、方向に明るくないのだろう。これはいかん。
任務に支障が出る。
「今からお前を鬼殺隊士として相応しいか試す」
そう言って走り出せば、ほんの一瞬遅れたがすぐについてくる。順応は早い方か。
山を下るにも身のこなしは悪くはない。
罠に嵌れば、それを学び試行錯誤をしているようだった。
次の日から、素振りをさせた。
正確に、丁寧に刀を振れている。
Aは刀の基礎だけは教えてもらったのだと語った。
暫くAは刀を振り続けるが、その集中力は並の人間より遙かに高いと気付く。
数日後には受け身の練習。
刀を丸腰の儂に振ることに一瞬戸惑っていたが、すぐに立ち向かってきた。
難なく投げ飛ばせば、Aは尻餅をついた。
Aの学習能力の高さを見たのはそれを3回ほど繰り返した後だった。
同じようにまた投げ飛ばすと、今度は踏ん張り立ち直りが早い。
そこから数度転がせば、既に着地のコツを掴んだようだった。
試しに遠くに飛ばすと、体を捻って受け身をとる。なるほど、この子は飲み込みが早い。
3ヶ月が経った。
気配察知に鋭くなり、動きの速度が一段と俊敏になったAは、罠の中山を下るのももう容易い。
今まで教えた子に比べても成長が早いAは、もう呼吸法と型を覚えた。
だがどうも、水の呼吸に少し合わないところがあるようだ。
これは水の呼吸から派生し、他の呼吸を編み出す必要があるやもしれん。
だがそれはAが考えねばならんこと。
「もう教えることは無い」
しかし願う事なら、この子が最終選別で死ぬのは見たくない。
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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時