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拾 《煉獄視点》 ページ12

『ところで、その』
「うむ、なんだ!」
『煉獄さんは鬼殺隊に所属しているんですよね?』
「あぁ、そうだな!」

鬼殺隊のことは胡蝶から聞いたらしい。
Aは少し躊躇いながら口を開いた。

『あ、あの!』
「なんだ!」
『その、私も、鬼殺隊に入れるのでしょうか』

その言葉に俺は衝撃を受ける。

全く考えていない事態だった。
この少女が鬼殺隊に…?
そうなれば彼女が死ぬ可能性がぐんと上がってしまうではないか。

「よもや…君は鬼殺隊に入りたいのか」

聞き返せば彼女は迷うことなく頷いた。

『はい、入りたいです』
「何故だ?」

思わず口から出た言葉。
何故、いや何故俺はそんなことを聞くのだろう。

「いつ命が散ってしまうかも分からない。いつ鬼に喰われるか分からない。
鬼殺隊に入るとは、そういうことだ」
『…はい』

まるで俺は鬼殺隊に入らないよう説得しているみたいだ。

…いや、“みたい”ではなく実際そうだな。
俺は、出会ったばかりのこの少女に、どうしてか死んで欲しくないのだ。

「もう一度聞く、君は何故鬼殺隊に入りたい」
『…はい、』

彼女は言葉の整理をしているかのように、ゆっくり話し始めた。

『私は、自分には鬼に対抗できる力が、あるのではないかと思いました』

3時間、鬼と対抗して感じたものがあるという。

『でしたら、私にはやれるだけやる義務があるでしょう』

その言葉に驚く。
義務?そんなものはないだろう!
例え力があるとしても、鬼と戦わない選択をして責められることはない。寧ろそれが当たり前だ!

「よもや、それは違う!力があるからといってそれを使う必要は無いだろう!」
『いいえ、必要は出てきます。
…それで何人もの人が助かるのならば』


__弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です。

少女の顔付きは、母上の、その言葉をどことなく感じさせるものだった。


「…それで、君が命を落とす可能性もあるんだぞ」

そう忠告すれば、彼女は承知の上だと笑った。

なるほど、説得は無理だ。
彼女は案外頑固らしい。


…強い少女だ。









『お優しいんですね』

そう微笑む彼女に胸の鼓動が速まるのは、一体なんだろうか。

拾壱→←玖 《煉獄視点》



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蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 5262さん» コメントありがとうございます!励みになります! (2020年12月17日 11時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
5262(プロフ) - 初めましてコメント失礼致します。続きが楽しみです!大変だと思いますが更新頑張ってください、応援してます (2020年12月15日 17時) (レス) id: e1b40e07f2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - コメントありがとうございます!夜はいいですよね! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - 夜が好きッ!?私と同じだ… (2020年12月7日 17時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - yersk0402さん» ありがとうございます!!煉獄さんに会いたいですよね!!更新頑張ります! (2020年12月6日 20時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナキサ | 作成日時:2020年11月28日 20時

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