【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】

玖 《煉獄視点》 ページ11

蝶屋敷へ少女を届け、事情を説明した後。
中々彼女は目を覚まさないらしい。

任務中も少し彼女が気になってしまう。今までも鬼に襲われている人々を助けたことは幾度となくあるが、こんなことは初めてだ。自分はどうしてしまったのだろうか。
不甲斐ない。いかん、集中だ。

目を覚ましたと連絡を受けたのは、5日後だった。

「失礼する！」

ガラッ、と扉を開けると、連絡通り彼女は起きていてほっとする。

「目を覚ましたようだな！」
『はい。助けていただきありがとうございました』
「あぁ、しかし間に合ってよかった！」

あと数秒遅ければどうなっていたか…。いや、よかった。

「俺は煉獄杏寿郎だ！君の名を聞いてもいいだろうか！」
『…AAといいます…？』

急に尋ねてしまったからか、少女…Aは首を傾げる。
AA…うむ。

「良い名前だな！」
『あ、りがとうござます…』

彼女はぱちぱち瞬きして、そして嬉しそうに笑った。その姿に何故か心臓の鼓動が高鳴る。
ううむ、なんだか気持ちが落ち着かないな！

「突然だが、君は鍛えているのだろうか！」

思い切り話題の方向を転換させて気持ちを落ち着かせようとする。
否、これは元々気になっていたことだ。

『…へ？』
「いやなに、3時間も鬼に対抗していたと聞いてな。少し気になってしまった！」

Aの体は細く、筋肉がついているようには思えない。
しかし、Aの証言と俺が見た時刻を照らし合わせると、3時間も武器も持たずに生き延びたことになる。

彼女は少し唸った。彼女自身不思議なのだろう、と察した。

火事場の馬鹿力かもしれない、と笑うA。
よく分からないまま、体が対応できたと語った。

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