【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】

漆 ページ9

「もう一度聞く、君は何故鬼殺隊に入りたい」
『…はい、』

ゆっくり目を瞑り息を吐く。
なんと言えばいいのか。ううん。

『私は、自分には鬼に対抗できる力が、あるのではないかと思いました』

そう、さっきは火事場の馬鹿力だなんて言ったが、それで3時間も耐えられるだろうか。
トリップ前の自分だったならば、無理だったに違いない。
この力は、トリップしたから与えられたものだ。だとしたら使わずしてどうする。

『でしたら、私にはやれるだけやる義務があるでしょう』
「よもや、それは違う！力があるからといってそれを使う必要は無いだろう！」
『いいえ、必要は出てきます。
…それで何人もの人が助かるのならば』

そう言えば、煉獄さんは少し言葉を詰まらせた後、一段と低い声で私にまるで忠告するように言う。

「…それで、君が命を落とす可能性もあるんだぞ」

本当に面倒見の良い人だなぁ。じゃなければこんな会ったばかりの人間を気に掛けないだろう。

『ふふ、承知の上です』
「…むぅ、そこまで覚悟が決まっているのなら、俺は何も言うまい」
『いいえ。…お優しいんですね』


煉獄さんの顔が少し赤くなった気がした。

捌 《煉獄視点》→←陸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す