【煉獄杏寿郎】全力で救いたい！【トリップ】

弐拾 ページ22

『ひま』

最終選別って意外と暇だ。鬼を狩ること以外何も無い。

『水の呼吸 壱ノ型 水面切り』

足がすくんで動けない女の子を助けたり。

『水面切り』

危機一髪の男の子を助けたり。

『水面』

助けたり。

段々声に出すの面倒になったので省略し始めた。これからは型の名は心の中で叫ぶことにしよう。

水の呼吸 弐ノ型 水車！

刀を振り、鬼の頸を落とす。
助けた人を見ると…

『…！』
「貴方は、前に蝶屋敷に来ていた…」

なんと胡蝶しのぶ様でした。
え！？入隊この時期だったのね！？
ええっと、原作より3年くらい前だから…15歳？私と同じくらいか！まさかの同期になっちゃった嬉しさ爆発！！

『お久しぶりです、胡蝶さん』
「…しのぶで結構です。姉も胡蝶ですので」
『じゃあ、しのぶさんですね。私はAAです』

一応改めて名乗ると、知っています、と返ってきた。取り敢えず名前で呼んでもらった。

そして沈黙。
いやどうしよ。コミュ障！！

『それではそろそろ行きます。
一緒に生き残りましょうね！』
「…助けていただいたことは感謝します」

にっこり笑顔を見せたけど冷ややかな目で見られた…悲しい…。でも我らの業界ではご褒美です…。

原作に比べてしのぶさんは微笑んでないし強い口調だった。
これが本来のしのぶさんの性格なんだろうなと思うと全然おkです。むしろ大好き。
そもそも原作の方はカナエさんの性格を受け継いだからだし。

『まぁしのぶさんと同期と考えると嬉しい誤算すぎるから全て受け入れられる…』

最終選別も悪いことばかりではない。うん。

強いていえば食料確保に困ったくらいだ。
鱗滝さんに山のことは教わってたから、食べられる木の実とかは知ってたけど。

でもきのこ類は怖くて手はつけなかった。
素人がそこらのきのこ食べちゃダメだと思うわ。

『あ…』

空の様子を伺えば、もうすぐ夜明けだ。
透き通った橙色の光が差す。
この時間帯も好きだなぁと、その景色を眺めた。

夜が明ければ鬼はすぐに隠れるだろう。
やっと睡眠も取れる。

何かあってもいいように刀を抱きながら木にもたれ掛かって目を閉じた。

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