22限目 *カルマ視点 ページ24
『いちご煮オレ買ってくるね〜』
「おー」
そう伝えて外へと足を運ぶ。
湯冷めしたせいか、夜風が余計に体を冷やす。
自販機は確かあそこら辺に、と頭の中で場所を確認していると、一つの人影が見えた。
近づけば、Aが取り憑かれたように月を眺めていた。
俺には気づいてないらしい。
月明かりに照らされているAは美しかった。
ぼうっと彼女を見ていたが、ハッと意識が醒めるとなにか恐ろしい感覚に襲われてしまう。
このままでは、Aが消えてしまう。
冷静に考えればそんなことあるはずもないのに、俺は焦って声を掛けた。
『A』
彼女はようやく月から目線を外した。
『何してんの？』
「赤羽くんこそ」
『名前で呼んでってば。
いちご煮オレ買いに来たんだよね〜』
先程の焦りで心臓がドクドクと強く脈打つ。
それを悟られないように、平然を装って自販機を指差した。
『で、なに。初恋相手に見惚れてたの？』
「うん」
迷いなく、濁すことなく断言した。
ずるい。
まさか月に嫉妬する時が来るなんて。
『…ふーん』
そう言って月を見上げてみる。
正確には、睨む。
Aの手がお前に届かないように、お前だって彼女に近づけない。
そう月に向かって思えば、心が落ち着いた。
『ねぇA。
もし俺がAの事、好きって言ったらどうする？』
Aは一瞬固まったように見えた。
いや、気のせいかもしれない。
これだけ見ているのに、感情が少しも読み取れないことが悔しい。
「どうもしない」
『どうもしないんだ。じゃあ付き合い前提の告白だとすれば？』
「…断る」
少し悩む様子を見せた。
…想定内。
『そう。まぁいいけど。
A』
彼女を真っ直ぐ見つめる。
『月が綺麗だね』
…あ。瞳が揺れている。
それはただの動揺？
少し泣きそうに見えるのは俺の勘違い？
やがてAは口を開く。
その声は震えていた。
「…夜更けには、沈む。綺麗なのは夜だけ」
その返事に少し理解が遅れたが、意味の答えを急いで弾き出す。
夜更けには沈む。綺麗なのは夜だけ。
つまり、
朝になってしまえば月は消えると。
俺の恋心は一時的なものであると。
理解した瞬間、怒りがこみ上げる。
『へぇ、そっか。そう思うんだ？』
俺が嫌いでとかじゃないなら。
気持ちを疑われたままなら、退けるわけない。
『Aが好き。これから疑うことも出来ないくらいアプローチするから覚悟してなよ』
一種の宣戦布告。
彼女にそっとキスをした。
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ムマ(プロフ) - シリアスがシリアルになってて朝ごはんかな？と…w (2023年2月26日 7時) (
レス) @page36 id: 6ac26bb231 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - とても良い作品ですね！ゲームを禁止してから数年。この作品を見つけました！この感想？を見てるか分かりませんが14限目(16ページ目)でA組からD組はグリーン車…ってところA組からE組になってますよ。 (2021年5月6日 17時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミミー(プロフ) - カメラくんカルマ仕舞ってはツボ笑笑 (2020年11月6日 17時) (レス) id: 0e4633d09f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い(プロフ) - 蒼の戦姫ナキサさん» そうだったんですね！てっきり間違われていると思ったので、、 この作品応援してます！これからも更新頑張ってください！ (2020年5月11日 2時) (レス) id: b8ffafd9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 推しが尊いさん» お恥ずかしながら、わざとなんです汗「いや逆だし」とカルマくんからツッコミも入ってます… (2020年5月11日 2時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼の戦姫ナキサ
| 作成日時：2020年4月25日 22時
