30限目 ページ32
ごくり、と何人かが唾を飲む音が聞こえた。
「死にたくなるって、どうして…」
『…やらないと生きてる価値がない』
そう思いたくなくても、体に染み付いたものは簡単に取れない。
…死んだ影が、頭の中にしがみついて離れない。
「これは、思った以上に深刻なようですねぇ…」
殺せんせーは考える素振りを見せる。
そして何か思いついたように言った。
「クラスでお泊まり会をしましょう!」
.
「なんかすごいことになったね〜」
下校中、隣を歩くカルマくんがそう言った。
いや本当だよ。なんでこうなった。
殺せんせーいわく。
お泊まり会をしながら、夜の私の様子を見て、生活習慣を直したい。
そして私がクラスに馴染むきっかけになるだろうと。
あと先生が1度してみたかったらしい。
私情を挟むな。
「ま、俺は賛成だけどね。Aの寝顔見れるし」
見ないで欲しい。布団に篭ってやる。
「それに、あんなこと言われちゃね」
『?』
あんなこと?
「"死にたくなる"ってさぁ…好きな奴がそんな事言ってたら放っておけるわけないじゃん」
好きな奴…まだそう思ってくれてるんだ。
なんて返せばいいか分からなくて、私は黙っていた。
そんな会話をしているうちに家に着く。
カルマくんは毎日ちゃんとしっかり私の家までついてくる。
一歩間違えばストーカーなのでは。
彼が安全のために送ってくれてるのは分かっているけど。
なんだかんだ優しい人だってことは知っている。
それじゃ、と言おうとした時、聞きたくなかった声が聞こえた。
「あ!Aちゃん久しぶりね〜!今帰りだったの?」
振り返れば、化粧と香水がキツイ女。
「あらあら、男の子と一緒なの〜!彼氏?毎日送ってもらってるの?」
『…母さん』
最悪。まさか今日帰ってくるとは。
カルマくんはきょとんとしている。
「母さん?」
「どうも、Aの母親です。
似てなくて驚いたでしょう?この子父親似なのよねぇ」
「へぇ、そうなんですね。俺は同じクラス赤羽業です」
そういってにっこり笑う。
愛想笑いとかするんだ。意外。
「こんなかっこいい子捕まえるなんてやるじゃないA。さすが私の子」
『…彼氏じゃないし、"捕まえる"とか言わないでくれる。彼にも失礼』
私の子、という不快なワードは無視だ。
思わず表情が崩れそうになる。
「あらごめんなさい。相変わらず冷たいわねぇ。
あ、そうだ。折角なんだし家に上がってもらいなさいよ」
ほんっと最悪。
547人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムマ(プロフ) - シリアスがシリアルになってて朝ごはんかな?と…w (2023年2月26日 7時) (レス) @page36 id: 6ac26bb231 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - とても良い作品ですね!ゲームを禁止してから数年。この作品を見つけました!この感想?を見てるか分かりませんが14限目(16ページ目)でA組からD組はグリーン車…ってところA組からE組になってますよ。 (2021年5月6日 17時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミミー(プロフ) - カメラくんカルマ仕舞ってはツボ笑笑 (2020年11月6日 17時) (レス) id: 0e4633d09f (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い(プロフ) - 蒼の戦姫ナキサさん» そうだったんですね!てっきり間違われていると思ったので、、 この作品応援してます!これからも更新頑張ってください! (2020年5月11日 2時) (レス) id: b8ffafd9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼の戦姫ナキサ(プロフ) - 推しが尊いさん» お恥ずかしながら、わざとなんです汗「いや逆だし」とカルマくんからツッコミも入ってます… (2020年5月11日 2時) (レス) id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼の戦姫ナキサ | 作成日時:2020年4月25日 22時