天才無口無表情ちゃん。【赤羽業】

26限目 ページ28

「へぇ、こんなのも作れるんだ！」
「はい！」

データさえあれば特殊なプラスチックで体内でなんでも作れるらしい。

「じゃあさ、花を作ってよ！」
「はい！準備しておきますね！
千葉くん、王手です」
「ぐ、3局目で勝てなくなった…」

やはりものすごい学習能力らしい。

「思いの外大人気じゃん！」

すると先生は人気を取られる！と人の顔を表示して見せたが、きもいと言われ落ち込んでいた。

そして自立思考固定砲台さんは律と呼ぶことになった。

「うまくやっていけそうだね」

「うーん、どうだろ。
寺坂のいうとおり、殺せんせーのプログラム通りに動いてるだけでしょ？
機械自体に意思があるわけじゃない。

あいつがこの先どうするかは、あいつを作った持ち主が決めることだよ」

持ち主、か。
律さんの保護者は、今の律さんの状態を許さないだろうな。









「おはようございます、皆さん」

思った通り、彼女の持ち主は許さなかったみたいだ。

これからは改良も加害行為とみなし、私たち生徒も何かあれば賠償を請求するそうだ。

…嫌な気分だ。
あくまで保護者の支配からは逃れられないと見せつけられているようで。

律さんは発砲準備を始める。
くる、と全員が思ったとき、彼女が差し出したのは大きな花束達だった。

「花を作る、約束をしていました。
殺せんせーは私のボディに計985点の改良を施しました。
その殆どはマスターが暗殺に不要と判断し削除、撤去、初期化してしまいました。

しかし学習したE組の状況から私個人は協調能力が暗殺に不可欠な要素と判断し消される前に関連ソフトをメモリーの隅に隠しました」

つまり、律さんは。

「素晴らしい！つまり律さん貴方は…」
「はい！私の意思で、マスターに逆らいました！」

逆らったんだ。支配者に。

未だ死んだ筈の影に囚われる私とは、違う。

とても、律さんが眩しいものに見えた。

「こういうのを反抗期と聞きます。律は、悪い子でしょうか」
「いえいえ、中学三年生らしくて大いに結構！」

殺せんせーは大きく丸を示した。







＿＿＿＿＿「A、お前は俺の操り人形だ。
いいか、俺の言うことは絶対だ。」






＿＿＿＿＿「え？A？
私の身代わり人形みたいなもの。
あの子のおかげで旦那が私を見ないから楽でいいのよ。
それより私と遊ばない？旦那とはもう離婚するからぁ〜」





ダメだ。取り乱すな。


私は違う。人間だ。

だから、だから。

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