独占欲 ページ5
しがない会社員である私は最近、彼氏が出来た。私には勿体ないほどかっこよくて優しい人である。
「今度、デートしようか」
『したい!どこに行く?』
「Aが行きたいところならどこでも」
クロロは優しい目をして私に微笑みかけた。
「Aちゃん、今日一緒に飲みに行かない?」
『え、っと』
女好きの上司にそう声を掛けられる。
躊躇う私に痺れを切らしたのか、いいでしょ?と急かした。
仮にも上司であるため、表立って逆らうことは出来ない。
仕事が終わり、心の中で溜息をつきながら上司と会社を出る。
すると、クロロの姿が見える。
『え?クロロ、どうしてここに?』
「Aを迎えに来たんだ。一緒に帰ろう」
『うん!あ、でも…』
ちらりと上司を見る。
帰りたいけど…
「Aちゃん、彼氏?しょうがないねぇ、また今度ね」
一応空気は読んでくれたみたい。
ほっと肩を撫で下ろす。
「大丈夫?なんだか嫌な予感がしたから来たんだ」
『そうだったの。
ありがとうクロロ、助かったよ』
ふふ、と笑うとクロロも笑いかけてくれる。
じゃあ行こうか、と手を繋いで歩き始めた。
その日から、上司の姿が消えた。
「A、最近彼氏はどうなの?」
『どうって…すごく優しくしてくれてるよ』
仲がいい同僚と昼食を食べている時に聞かれる。
「あのかっこいい人でしょー?くっ、Aを取られてショックだけど、文句のつけ所が無いのよね」
『うん、私には勿体ないくらい』
「そんなことないって。逆にどの男でもAの方が勿体ないから」
彼氏と別れたら、私と付き合ってねと冗談を言われ、私は笑った。
その同僚も、姿を消した。
次に後輩が消えた。高校の友達も消えた。
家族が、消えた。
『クロロ…』
「どうしたの?A」
クロロは変わらず優しく接してくれる。
『私の周りの人が、みんな消えてくの。どうしよう、クロロまで消えちゃったらやだよ。消えちゃったら、わたしっ』
「落ち着いて、大丈夫。俺は消えない」
俺はずっとAの傍にいるから。
目から溢れる涙を掬い、言い聞かせるように何度も言う。
クロロは私を抱き締めた。
「ほら、俺はちゃんとここにいる」
『うん…あったかい』
不安でいっぱいだった心も落ち着いていった。
『クロロ、ずっと一緒にいて…』
「もちろんだよ」
この時私はクロロが口角を上げて不気味に笑っているなんて、つゆにも思わなかったのだ。
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アマネ(プロフ) - リクエストってよろしいでしょうか？ (2021年5月7日 17時) (
レス) id: f8218117cc (このIDを非表示/違反報告)
たにーさん - マジおもろい、R18ばんも普通に見たいけど見方がわからん (2020年9月3日 3時) (レス) id: 0ff6ba9ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ(プロフ) - 最っ高でした！今までこれ程までに心臓が止まりそうになったこどがないくらいキュンッとしました！！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: ba46aa434f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼の戦姫ナキサ
| 作成日時：2020年2月10日 22時
