拾壱 ページ11
どうして、村ひとつでそんなにたくさんの兄弟が連れ去られるのだろうと思っていたけど村に着いたら思っていたよりも大きい村で、家が沢山見えたから納得した。
森の中で様子見していたら、村の奥の方で叫び声がした。
私たちはすぐに駆け出した。
叫び声が聞こえたであろう場所には、母親らしき人が蹲って泣いていた。
さっきの叫び声を聞いたのだろう。
村の人がどんどん集まってきている。
『すみません。どうかされましたか?
叫び声が聞こえたんですけど、』
鬼が出たことは承知済みだが、怯えさせないように普通に対応する。
「む、息子達が....息子達が連れ去られたの...暗くて顔は見えなかったけど....誰かが.....」
『時透くん、行こう』
「....うん」
息子達と言っているあたり兄弟もしくは兄妹、姉弟だろう。
と、なると間違いなく今回の鬼だ。
村からは確実に離れているだろうと思い時透くんと一緒に森の中に入る。
すると入った瞬間鬼の気配がした。
まださほど遠くに行ってないらしい。
当たり前に時透くんも気がついていて、立ち止まって様子を伺う。
『...っ!』
「居る」
私が気づいたとほぼ同時くらいに発された時透くんの言葉。
次の瞬間目の前に鬼が降りてきた。
真上辺りに居る気配はしなかったので、何本か先の木の上にいたのだろう。
私は背負っていた袋を下ろし、薙刀を出す。
『星ノ呼吸 弐ノ型 星屑』
『っ!』
技をだし、鬼に多少の斬撃は与えられたものの、時透くんの姿がないことに気がついた。
「あの小僧ならわしの弟のところだぞ」
弟....!?
ということは、鬼はこいつの他に少なくとも1人以上....!
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作者名:紫陽花 | 作成日時:2023年5月29日 22時