戻りたければ手を汚せ―同田貫清国編― (ページ13)

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男士高本丸の同田貫清国―内番― ページ13

刀達が今日の内番に向かった。
そして、主が正国と清国に手合わせするように言った。

正国は喜んで、二振り分の木刀を持って道場へ行く。
槍サイズのはあったが、薙刀サイズのは現在持ち合わせてなかった。故に打刀サイズの木刀で。

「悪ィな、兄貴が不利になる状態でよォ。」
「『気にしないでおくれ。私はお前と戦えるだけで嬉しいのだから。
　 ……強くなったお前が見たくてしかたがなかった。』」
「兄貴…。」
「『むしろ、お前よりも弱い私がお前の相手が務まるだろうか…？』」
「俺は兄貴と戦えるから嬉しいんだ。
　今は勝敗なんて気にしねェよ。」

道場に着き、正国が投げた木刀を掴む。
そして軽く振ってみる。
剣道部を引退してそこそこ経ったが、まだ使えるみたいだとAは思う。
薙刀より短いから違和感があるな、と清国は思う。

「良いか兄貴。」
「『あぁ、よろしく頼むよ。』」

それぞれ構えると、最初に動き始めたのは正国だった。
小細工も何も要らない、正面突破。
清国も正面でしっかりと受け止める。
体格の差でカバーはしてるが、錬度の差が大きくあまり長くは耐えられない。

正国の木刀で滑らせて、柄で頭を軽く叩く。
少しの隙を逃さず、責め立てる。ただ振り下ろすだけじゃなく、突きも少しずつ混ぜて。
正国はそれを的確に避けていく。木刀で弾いたり、バク転で大きく間隔を開けて。

少しずつ正国目が戦場での目に変わる。
戦いに興奮し、兄貴の前に立つと言う事に背徳感を感じ、兄貴をこの手で倒したいと躍起になる。
弟の変化に、清国はほほ笑む。

「『それでこそ同田貫(我が弟)だ…。』」

清国も立派に戦狂いだ。