戻りたければ手を汚せ―同田貫清国編― (ページ12)

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男士高本丸の同田貫清国―顕現した理由―　③ ページ12

廊下から５人が覗きこむ。見なれぬ存在がいるからかそわそわしている。
まるで転校生が来て、一目見ようと他のクラスから覗きこむ男子高校生…。
こういう時は大体先生が来て、注意して「はーい。」と言ってそれぞれの教室へ戻るのだが。
残念、ここは本丸だ。付喪はいても、先生はいない。

「覗きこんでないで、入ってきたら？」

主がそう言うと、５人は入ってくる。
白い布を被った子と褐色肌の子は興味なさそうなフリをしているが、チラチラ見ている。
龍馬感のある子と金髪のちっちゃい子と、緑ジャージの大きな子は目を輝かせている。

「お、おんし……おんしは何と言う名じゃ？刀種もっ…教えとーせ！！」

清国の前に座り、手を掴む。
その輝きは、清国にもAにも眩しすぎる。

「『…私は同田貫清国。同田貫清国作の薙刀です。』」
「な…薙刀…？」

滅多に聞かぬ刀種。

「な、なぁ…ちょっと立ち上がってくれないか？」

緑ジャージの子が言う。
まぁ、立つくらいなら…と、思いながら立ちあがる。
緑の子も立つ。あっ、この子も結構背が高い。
でも、清国の方が若干大きい。緑の子が主の方を見て、

「お、俺よりも大きい！！」

と言った。
緑の子から桜が舞う。

「すっげぇ…俺より大きい奴いたんだなぁ。」
「『貴方も十分大きいですよ。』」
「そっかぁ？」
「『貴方の刀種はなんですか？』」
「槍だぞー。
　周りが刀ばっかで寂しかったからなぁ。俺、あんたが来てくれて嬉しい！」

へらっと笑う緑の槍。
褐色肌の子は「同田貫…清国…」と何度も復唱してから、正国に問う。

「この薙刀は正国と関係のある刀か？」
「あァ？関係も何も俺の兄貴だっての。
　……俺を作った同田貫正国の実の兄、同田貫清国が作った薙刀。」
「…あんた、兄弟がいたのか。」

白い布の子が清国と正国を交互に見ながら言う。

「あんたと全然似てないな。」
「うっせー！」

ふっと笑う褐色肌の子。
見た目相応にふざけたように言う正国。

「ほらほら、清国さんが来たんだから慣れるまではちゃんと手伝いすること！」
「「「「「「はーい。」」」」」」

その返事は明るかった。