27 ページ27
朝目を覚ますと、圭介が隣で眠っている。
昨日はあのまま疲れて寝てしまった。
1回で終わると思ったら何回もするもんだから腰が尋常じゃないくらい痛い。
起こさないように静かに身体を起こし、服を着る。
圭介が起きたらなにがなんでも離してくれなさそう。
そのうち監 禁とかし始めそうだな、なんて考えたら少し面白くて笑ってしまった。
でもなんで、圭介は私を離さないのか。
ほかに好きな人いるのに、それだけがわからない。
まぁ言っても教えてくれないんだろうけど。
それから簡単に荷物をまとめる。
あまり思い出したくないため、思い出のものとかは全て置いていく事にした。
ひとつを除いて。
圭介が大事にしてた、あの時の写真。
あれだけは、持っていく事にした。
好きだった、という事実は消したくなかったから。
思い出したくないって言ってるのに、変な話だよね。
自分でもよくわからない。
『…ばいばい』
寝室を出るとき、寝ている圭介に小さい声でそう言って、扉を閉めた。
もう、会うことはなくなるのかな。
家を出て、とぼとぼと道を歩く。
両親に恋人と別れた、と伝えると父親の経営しているマンションを貸してくれると言っていた。
ここからは遠く離れているので偶然会うこともないだろう。
無理言って圭介と同居したのに今更圭介と別れて愛想尽かされると思ってたけど、そんなこと全然なくてむしろ心配してくれた。
ちなみに学校はあっちに姉妹校があるらしく、父が説得してくれてそっちに通うことになった。
せっかく仲良い友達できたのに少し寂しい。
三ツ谷くんには、手紙を出しておいた。
ほんとは直接お礼を言いたかったけど、そんなことしたら絶対に止めてくれるから。
今までありがとう、というお礼と、告白の返事。
一言“ごめんなさい”と記しておいた。
三ツ谷くんのことは、大切に思っている。
だけど、恋愛として好きって言えるのは、圭介だけだから。
あんなに私によくしてくれといて申し訳なかったけど、これが私の出した答えだ。
ひたすらに歩いていればいつのまにか駅に着いた。
もうここに来ることは一生ないだろう。
こんなときに、やっぱり思い出すのは圭介の顔で。
『大好きだなぁ、』
私が小さく呟いたその言葉は、何処かへ消えて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫陽花(プロフ) - やばいくらい泣きました…！話の長さは長すぎず短すぎずの丁度いい長さなのにこんなにも深い話をかけるみやさん天才ですよ！！！！！ (7月3日 19時) (
レス) id: 5633e8474b (このIDを非表示/違反報告)
きゅーり＠幽霊同盟 - 涙腺と脳味噌が崩壊した…()場地さんかっけぇぇです…新作出たら、絶対読みます。 (2022年5月7日 1時) (レス) @page34 id: 4d158fd0bc (このIDを非表示/違反報告)
mzhama(プロフ) - 原作では泣きましたが場地さんが幸せになってくれるのは嬉しいです。途中涙腺やられました。素敵な小説ありがとうございました (2022年4月16日 19時) (レス) @page34 id: ef4e2691e4 (このIDを非表示/違反報告)
ひちゃん(プロフ) - 場地さん推しの私は最高でした…涙も出ました！ (2021年12月24日 1時) (レス) @page34 id: 587a5d2da1 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 最高でしたー！ (2021年9月26日 15時) (レス) id: 75bd89e55e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みや
| 作成日時：2021年8月13日 16時
