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『なんで、そんな前付き合ってた人なんかと…、』
「…こっちも色々事情あんだよ」
『色々って？なに？言ってよ、』
「それは…」
私の質問にそこまで答えかけて、圭介は喋るのを止めた。
なんで、今止めるのか。
しばらくして圭介は再び口を開く。
「わりぃ、言えねぇ」
『……』
結局、隠し事。
話そうなんて言って自分の都合いい事しか言わないつもり。
そんな圭介を見て、ものすごく悔しくて、自分が惨めに思えて、さっきとは違う涙が溢れた。
『結局…話す気ないじゃん、向き合う気ないじゃん！ねぇ、その日の他にも、夜会ってたの？私に内緒で』
「会ってねぇよ」
『じゃあ何処にいたの？毎日毎日！帰ってきたと思ったら朝だし、なに考えてんの…』
「…どこでもいいだろ」
『よくないから言ってるの！』
もう何もかも、わからなかった。
圭介の言うことが信じる、なんてことできなくて。
もう、限界だった。
私は服の袖で涙を拭くと、圭介と目を合わす。
圭介は、そんな私を見て少し焦ったような表情をした。
『圭介。別れよう』
「…は？」
『もう、圭介の隣にはいられない』
「なに、言ってんだよ」
『圭介とは、これでおわり』
ずっと、出来なかった決断。
本人の前ではっきり言うことなんて出来なかった。
だけど、今の圭介の隣にいるべきなのは私じゃない、って思った。
そんなの圭介にも相手の女性にも悪いし、何より私が耐えられない。
言ってしまったら言ってしまったで随分と気持ちが落ち着いて、私は無理に笑う事は出来た。
微笑む私を見て圭介は少し怒った表情をする。
「…ざけんなよ」
小さくそう呟いたかと思えば私をベッドに押し倒す。
抵抗出来ないよう私の両手を上で固定させると、そのまま強引に唇を合わせた。
この感じ、いつぶりだろう。
抱く事ばかりか、長い間キスもしていない。
私は拒否することはしなかった。
圭介が私に触れる手が優しくて、ただ何処か激しくて、その時だけは“私の圭介”なんていう実感ができた。
“もっと、”といえば圭介はそれに答えてくれる。
最後くらい、甘えてもいいよね。
最中はお互いなにも言わなかった。
ただ黙って身体同士を触れさせ合う。
今夜は、満月だ。
カーテンから覗く月が、惨めな私を笑っているようだった。
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紫陽花(プロフ) - やばいくらい泣きました…！話の長さは長すぎず短すぎずの丁度いい長さなのにこんなにも深い話をかけるみやさん天才ですよ！！！！！ (7月3日 19時) (
レス) id: 5633e8474b (このIDを非表示/違反報告)
きゅーり＠幽霊同盟 - 涙腺と脳味噌が崩壊した…()場地さんかっけぇぇです…新作出たら、絶対読みます。 (2022年5月7日 1時) (レス) @page34 id: 4d158fd0bc (このIDを非表示/違反報告)
mzhama(プロフ) - 原作では泣きましたが場地さんが幸せになってくれるのは嬉しいです。途中涙腺やられました。素敵な小説ありがとうございました (2022年4月16日 19時) (レス) @page34 id: ef4e2691e4 (このIDを非表示/違反報告)
ひちゃん(プロフ) - 場地さん推しの私は最高でした…涙も出ました！ (2021年12月24日 1時) (レス) @page34 id: 587a5d2da1 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 最高でしたー！ (2021年9月26日 15時) (レス) id: 75bd89e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや
| 作成日時：2021年8月13日 16時
