浮気性【三途春千夜】

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★春千夜side




浮気してんのがバレて、Aが家を出てった。



あれから数日。


1人の女を失っただけ。

ほかに代わりなんていくらでも居るだろ、なんて思ってた俺だけど、何故かすっきりしねぇ。





「春くん？」

「……」

「ねぇ、聞いてる？」

「…ん、？わり、聞いてなかった」

「今日の春くん変！もう帰るね！」




いくら女を抱いても、ましてや抱いてる最中だってのに頭ん中じゃAの事ばっかで気持ち悪りぃ。

いい加減にしろよ。



そんな俺に対して女どもはつまらねぇだとか何とかで俺から離れていった。

…あー、マジでうぜぇ。





そんなある日のことだった。



いつも通り仕事を終えた俺は昼休憩。

途中コンビニで買ったおにぎりにガブリとかぶりつく。



…味気ねぇな。

そういやあれからAの料理も全然食ってねぇ。


あいつの弁当食いてぇな、なんて思いながら残りのおにぎりを口に突っ込めば、目につく灰谷兄弟の弁当。





「うおっ、クオリティやべぇな」

「…美味そう」

「竜胆その唐揚げ俺に分けて♡」

「は？自分のあんじゃん。絶対無理」





…見覚えのある中身の配置。

見覚えのある弁当の中のおかず。




…は？意味わかんねぇんだけど。


すぐにわかった。

あの弁当はAが作ったものなんだって。



その事実に何故かイラついた俺は強引に2人から弁当を奪う。





「は？返せよヤク中」

「テメェらこの弁当どうした？」

「どうしたもなにもAチャンが作ってくれたんだけど？♡返してくんね？」




そう言いながら奪われた弁当を奪い返す2人。


…アイツ今、こいつらの家に居んのか？

そう考えたら居ても立っても居られなくなって会社を飛び出した。





ありえねぇし。

アイツが他のヤツのモンになるとか俺が許すわけねーだろ。


Aは一生俺の隣にいればいいんだよ。

俺の腕の中だけで可愛く鳴いてればいいんだよ。



なんて、ただの独占欲だけど。





ぜってぇ他に奴には渡さねぇよ。

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