浮気性【三途春千夜】

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家に帰れば、珍しく春ちゃんがいた。

今日も遅くなるって言ってたはずだったのに。




『あれ、遅くなるんじゃ…』

「テメェなんで黙って会社行った」

『もしかしてこれからまた出かけるとか？』

「無視ってんじゃねぇぞコラ」

『……』




ずっと思ってたけど彼女に”テメェ”って世間的に大丈夫なのだろうか。

…いや、気にしたら負けか。



色々考えるのをやめ、ひとつため息をついた後にココくんに送ってもらったと説明する。

その説明を聞いた春ちゃんは納得行かなそうな顔。




「九井と一緒だったのかよ」

『一緒っていうか…送ってもらっただけ』

「2人じゃねぇかよ」

『まぁ…』

「ざけんな九井あいつ殺す」

『ちょ、ほんとやめて』




なんですぐ殺すとかスクラップとか言うんだろうか。


流石にココくんのに手出されても困るので、家を出て行こうとする春ちゃんを必死に止める。

そんな私を見て春ちゃんは乱暴に私の手を払った。





「なんだ？九井庇うのか？」

『庇うとか…そう言う問題じゃない』

「つーか、なんで今日そんな俺に歯向かうわけ？」

『別に…歯向かってなんか、』




そう話してる途中に、春ちゃんは私のシャツの襟に手をやる。



そのまま乱暴に胸元を開いた。

開いた私の首元に顔を埋めようとする春ちゃん。


そんな春ちゃんを、反射的に突き飛ばしてしまった。




突き飛ばされた春ちゃんは、睨むように私を見た。





「最近すぐ拒否んの、マジでうぜぇ」

『それはっ…春ちゃんが浮気っ…ぁ、』

「…あﾞ？浮気だぁ？」




しまった、と思ったのは遅かった。


思わず口にしまった言葉。

言うつもりなんてさらさらなかったのに。



1人で慌てる私をダン！と思い切り壁に追いやる春ちゃん。


怒ってる、なんて言うのは顔からも、態度からもわかる。





「浮気ってなんだよオイ」

『…ぇ、と、』

「俺が浮気してる、って言いてぇのかよ」

『それは…っ、』

「ふざけた事言ってんじゃねぇぞ」




意味がわからなかった。


なんで私が怒られてるのか。

なんで私が責められているのか。




もうこれ以上、謝る事ないじゃん。




何かが吹っ切れた私は、春ちゃんを睨み返す。




『なんでそんな態度なの…』

「…あﾞ？」

『全部知ってる。春ちゃんが浮気してるのも、それが1人じゃないのも』

「は、？」

『まだとぼけるつもり？無駄だよ？私見たもん。春ちゃんが浮気してるとこ何度も、何度も』






もう、限界だった。





『出てって、春ちゃん』

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