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第二話 ページ3

錆兎side

その子は、影縫 Aと名乗った。


Aは、不思議な子だった。


さっき急に現れて、『強い?』と聞いてきた。



初対面なのに。



それに俺が答えると、


頷いて、浮かべていた笑顔が一層、明るくなった。


何だか分からない、大きなお札のような物のせいで


目元しか見えなかったが


その笑顔は、



とても、



暖かかった。



義勇に目を向けると


少し目を見開いていた。



どうやら、


俺と同じ事を考えているらしい。



何故笑ったのかも、


どうしてこんなに暖かいのかも、分からない。


『錆兎、義勇、錆兎、義勇、錆兎、義勇…』


Aは口の中で転がすように、


俺達の名前を何度もう口ずさんでいた。


義「お前もなのか?」


珍しい。義勇が自分から話しかけるとは。


ただ、言葉が足りないような気がする。


『? 嗚呼、最終選別?俺も参加するよ。』


驚いた。


Aが義勇の質問を理解出来たこともだが、


こんなに幼い子も参加するのか。


それに、Aは男にしては線が細い。


まあ、最終選別に参加する為に、


Aはここにいるわけだが。




その後、最終選別が始まるまでの間、Aと話した


Aは、育手の元で修行をしていないと言う。


だから、俺達が鱗滝さんの話をした時


『羨ましいなあ』


と言っていた。


Aとの会話は楽しくて、


いつのまにか、最終選別が始まろうとしていた。








説明を聞き終え、


周りの人達はどんどん山へ入って行く。


『錆兎、義勇、7日後にね!』


耳元でAの声がして、振り返ったが、


もうAの姿は無かった。


どこまでも、不思議だな。


同じ様に振り返った義勇と目が合う。


錆・義「…(コクン)」


俺達は互いに頷き合い、山に足を踏み入れた。

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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年10月1日 14時

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