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家の物音で目が覚めた。どれくらい寝ていたのか分からないけど、辺りは明るくなっていた。
「…ん?私、カギちゃんと締めたよね…?」
まさかこんな時に限ってドロボー…!?
私は極力音を立てないように、物音のするリビングの方へ向かった。
「キッチン…?でもキッチンなんてなんにも…はっ、まさか、包丁を…!?」
私は働かない頭で、とにかくどうにかしなくちゃと、テーブルに置いてあったペーパーカッターを構え、キッチンへ押し入った。
「ど、ドロボー!!!」
「あれ?起きたの?ちょ、物騒なもの持たない!」
ぎゅっとつぶっていた目を開けると、そこにいたのは貴利矢だった。
「あれ…?貴利矢だ…。ドロボーは…?」
「なになに、なんの話〜?自分ちゃーんと合鍵で入ってきたからね、ドロボーじゃありません。」
私の手からカッターを取り上げながら、貴利矢は笑った。
「というか、貴利矢なんで?」
「そりゃ、彼女が体調崩したら様子見にくるでしょ。自分これでもお医者さんだし?」
おどけながら貴利矢は、鍋に入っているなにかの味見をしている。
「でも、心配しないでねって言ったのに。」
「来なくていいとは書かれてなかったから。」
揚げ足をとるように貴利矢は言って、お茶碗に鍋の中身をよそった。
「莉乃ちゃん食欲は?おかゆ作ったけど、いま食べられそう?」
「へ、あ、うん、食べる。」
貴利矢が「おっけ、じゃあ座ってまってて」と言うので、私はフラフラした足取りでリビングチェアに腰掛けた。
「はい、どーぞ召し上がれ。」
「いただきます。」
一口食べると、ほんのりと優しい卵の味が広がった。
「おいし?」
「うん、めちゃおいしい。」
「良かった。」
完食はできなかったけど、半分以上は食べることができた。薬が効いて、楽になってきているのかもしれない。
「はーい、熱測りますよ〜っと…。」
貴利矢は私のおでこに手を当てて、目を閉じる。
「うん、まだまだ全っ然熱あるね。さっさと薬飲んで寝る!」
「はーい。」
大人しく言うことを聞いて、ベッドに向かう。貴利矢は私がベッドに入ってからも、横についていてくれた。
「ねぇ。なんで今日きてくれたの?」
「ん?莉乃ちゃん自分じゃ気づいてないと思うけど、体調悪くて余裕ないとき、メールめっちゃひらがなばっかになるんだよ?」
え、私の彼氏の観察眼すごすぎないか。
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みかげ(プロフ) - スピカブラックさん» すみません、だいぶ前に書き上げていたのに、公開したつもりになって非公開のままで…お待たせしました!! (2020年6月12日 23時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 瑠花さん» お久しぶりです瑠花さん!!!バーニングな迅さん、難しかったんですけどもうなんか大人にしとけばいいだろうと思って書きました!!(おいこら)いつもコメントしてくれてほんとにありがとうございます!またリクエストしてくださいねーー!! (2020年6月9日 1時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - スピカブラックさん» かしこまりました!しばしお時間いただきます! (2020年6月9日 1時) (レス) id: 042acd99ca (このIDを非表示/違反報告)
瑠花 - みかげさん» お久しぶりですみかげさんー!!!しばらく見れてなかったんですがバーニング迅さん!!!ほんとに初ですかってくらいバーニング迅さんでした!!!!素敵な迅さんをありがとうございます!!体調等色々気をつけてお過ごし下さい…! (2020年6月8日 9時) (レス) id: 8c3e454506 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクで時雨で甘で書いて欲しいです! (2020年6月8日 1時) (レス) id: d87ef36352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかげさん@仮面ライダー | 作成日時:2020年1月2日 11時