【短編集】誰かと甘いひとときを2【仮面ライダー・戦隊】

キミは万能ヒューマギア？【K/或人】 ページ38

彼女の名前は莉乃。どんな事務でもテキパキこなす超万能の事務員ヒューマギアだ。

ゴミ捨て場に無造作に投げられていたところを或人が見つけ出し、飛電製作所で復元された。

「……動作確認、完了。正常です。おはようございます或人社長。」
「おはよう莉乃！ばっちり復元できて良かったぁぁぁ！！」

莉乃の横でガッツポーズを決める或人。それを横目に、イズが莉乃へ話しかける。

「莉乃が復元されたのは、或人社長たっての希望です。」
「そうなのですか？」
「うん！俺のことはイズがサポートしてくれるけど俺、外回りばっかだしさ。シエスタはどっか行っちゃったし…、会社のことを任せるなら、莉乃が適任！ってね。」

或人は莉乃を指しながらにっこり笑ってそう言った。
元々莉乃はとことん人の役に立つために作られたヒューマギア。そう言われるとやる気が満ち溢れてくる。

「私のことをそこまで信頼していただき、ありがとうございます。或人社長のどんなご希望にもお応えしますので、なんでもお申し付けください。」

若干イズに似た性質を持つ莉乃は、丁寧なお辞儀をしてにこりと笑う。

「頼もしいなぁー！！それじゃあさっそく、事務所の掃除をお願いします！」
「承りました。」

彼女は、辺りを見回して掃除すべき箇所をインプットすると、すぐに掃除を始めた。

「…床掃除、完了。イズ、ハシゴか脚立はありますか？」
「それでしたら、あちらの倉庫に収納されています。」

莉乃が脚立を運び出し、ロッカーに立てかける。段を2,3登ったところで、脚立がぐらりと揺れた。

「危ない！！！」

莉乃は予測される衝撃に備えたが、一向にその衝撃はこない。
代わりに、天井が見えるはずの莉乃の視界には、或人が映っていた。

「ぎりっぎりセーフ…！莉乃、大丈夫か？」
「…はい。ありがとうございます。しかしなぜ、或人社長が体を張って私を助けるのですか？」

彼は社長で、莉乃は社員だ。逆のパターンなら有り得るが、この状況は莉乃にとって理解しがたかった。

「え！？なんで…かぁ。社員が危ない目にあってたら助ける。それ以外に理由なんていらないよ。」

或人は莉乃を起き上がらせ、「危ないとこはやんなくてもいいからねー！」とだけ言うと、また自分の業務に戻っていった。

「或人社長、顔が真っ赤ですが。」
「うぇ！？そ、そんなことないよ！？うん！！さぁ〜仕事仕事！！」

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