【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ9)

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「フィリップくん…こんな突然に…あなたちゃんが可哀想だよ…。」

亜樹子がフィリップへ、色んな思念のこもった視線を送る。

「亜樹ちゃんまで怒っている…？なぜだ？僕はただ、ケンカすればもっと僕たちの仲が深まると思って発言しただけだったんだが。」

その場の全員が固まる。フィリップ問題発言パート2。

「おい、ちょっと待てフィリップ…なんで『嫌い』って言って仲が深まると思った…！？」
「だって、さっきまで翔太郎と亜樹ちゃんはお互いのことを『嫌い』と言い合っていたじゃないか。」

亜樹子も翔太郎も「それがどうした」という目線。当然である。

「そこにあなたちゃんが『ケンカするほど仲がいい』と言っていた。つまり『仲がいい=ケンカする=嫌いと言う→仲がいい=嫌いと言う』ということじゃないのか？」

「おっまえなぁ……！人間そんな簡単にいかねーぞ！！」
「フィリップくんは難しく考えすぎ！！！」

一連の火種である2人から、またもバッシングを受けるフィリップ。

「そうなのかい？それは……あなたちゃんを傷つけてしまった。」

ごめん、と素直に謝るフィリップ。その姿を見て、あなたはおさまっていた涙がまたポロポロと零れ落ちていった。

「今度はなにで泣いてるんだ…！？」
「あ、ご、ごめんね！違うの！嫌われてなかったって安心したのと…私、ちゃんと愛されてるな、って思って…。」

「なに言ってるんだいあなたちゃん。僕が君を嫌いであった時なんて、1度もないよ。」

こともなげに言ってみせるフィリップに、翔太郎から「さっき思いっきり嫌いとか言ってたやつが…」とツッコミがとぶ。

ここまで一連のドタバタが、いつも通りの鳴海探偵事務所なのであった。

「それにしても、人間と恋愛は奥深くて未だに理解しきれないな…。」
「こればっかりは、地球の本棚で検索するだけじゃ、わからないこともあるかもしれないね。」

「それは困る。あなたちゃんにはこれからもそういう部分を頑張ってもらわないと。」
「え！？あ、はい！がんばります…？」