【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ8)

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感情はX/初心な恋人【探偵/フィリップ】ページ8

「こらーーーーーー！あ、た、し、が！所長なのよ！！このハーフボイルド！！！」
「おれはハーーードボイルドだ！！だいたい、お前が所長なんて認めた覚えはねーぞ！」
「むっきーー！！！」

今日も元気なケンカが鳴海探偵事務所に響き渡る。いつも通りの見慣れた光景に、ため息すら出なくなった午後。

「翔太郎も亜樹ちゃんも、懲りないねぇ。」
「まーまー、喧嘩するほど仲がいいって昔から言うじゃない？」

事務所のソファに2人仲良く腰掛けるフィリップとあなた。対して向こうでは「翔太郎くんなんて嫌い！」「俺だって亜樹子なんか好きじゃねーからな！！」と、これまたいつも通りに白熱した言い争いが勃発中であった。

「ふむ、なるほど…。よし、あなたちゃん。」
「ん？なに、フィリップくん。」

「僕、君のこと嫌いになった。」

「……え…？」

あなたが聞き返すよりも先に、亜樹子と翔太郎がフィリップに詰め寄ってくる。先ほどまで言い争っていたとは思えないほど仲良く息ぴったりに。

「えええええ！？ちょ、ちょ、ちょ、フィリップくんどうしたの！？」
「どうしたフィリップ、頭でも打ち付けたか！？」
「ん？特に怪我をした覚えはないが？」

問題発言をしたフィリップ本人は、ケロッとしている。

「えっ、と…私………なにか、フィリップくんに嫌われるようなこと、しちゃった…かな…？」

大きな瞳から涙を溢れさせながら、途切れ途切れにあなたが尋ねる。すると、1番驚いていたのはフィリップだった。

「ど、どうして泣くんだい？」
「いや明らかにお前が嫌いとか言うからだろ。」

2人で1人の探偵たちは、泣いているあなたの隣でごちゃごちゃ言い合っている。亜樹子は静かにあなたの肩を抱いて背中をさすっていた。