【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ48)

今日:25 hit、昨日:17 hit、合計:85,116 hit

〇あがり屋のConfession【医者/貴利矢】ページ48

瑠花さん、リクエストありがとうございます！

「あれ？誰もいない。私が1番だなんて珍しい…。」

CRに入ってきた彼女は、近藤あなた。聖都大学付属病院に勤める看護師だ。

「ポッピー…？も、お出かけ中か…。」

呼びかけてもドレミファビートは起動しなかった。おそらく永夢と共に外にいったのだろう。

「鏡先生と2人になるのは気まずいしなぁ…。」
「へ〜。じゃ、自分となら？」

後ろから音もなくやってきた声の主に、あなたは驚いて飛び上がる。

「く、九条先生…あんまり驚かせないでください！」
「ごめんごめん、あなたちゃん独り言おっきいからつい面白がっちゃった。」

にこにこ笑いながら、椅子の背もたれを抱え込むようにして座る貴利矢に、あなたはため息をついた。

「ため息つくと、幸せ逃げちゃうよ？」
「そんなの迷信ですよ…。」

あなたは貴利矢の方をチラリとも見ない。

「あ、そだ。あなたちゃんコーヒー飲む？」
「…いれてくださるなら、いただきます。」

おっけー待っててね〜、と言いながら鼻歌交じりでコーヒーを入れる貴利矢。入れるといっても、ボタンをおしてお湯をマグカップに注ぐだけなのだが、貴利矢は楽しそうだ。

「はい、どーぞ。」
「ありがとうございます…って、なんで離さないんですか。」

受け取ろうとしているのだが貴利矢がぴくりとも動かない。いまマグカップには大人ふたり分の相当な力が込められている。

「もう、コーヒー零れますよ！」

あなたは貴利矢の方を見上げた。

「やーっと目線合わせたね。」

貴利矢は微笑んでマグカップをテーブルの上におく。
あなたはしまったとばかりに目を逸らした。

「なんでさっきから自分の方見てくれないの？自分、なんかしちゃった？」
「九条先生が悪いんじゃありません。私が…私の問題です！」

今度は完全に背を向けた。貴利矢の声はやまない。

「あなたちゃんの問題？気になるな〜？」
「煽られても言いませんよ。」

「まぁまぁ、そう堅いこと言わずにさ。」

貴利矢はあなたの頬を手で挟み込み、顔を強引に自分の方へ向ける。

「とりあえず、自分にノせられてみなって。」