【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ42)

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働きたガール【機械/或人】ページ42

部屋にカタカタとキーボードを打つ音だけが響く。その音を出している主、あなたは、目の下に色濃いクマを作りながらも、瞬きひとつせずにパソコン画面へ食いついていた。

「或人社長、機械制御室にどんなご用があるのですか？」
「あー、そろそろ止めてやんないと、ぶっ倒れるまで働くやつがいてさ。」

あなたのいる機械制御室へ、社長の飛電或人とその秘書イズが近づいていた。

コンコンコン、とイズがノックを3つ。
中から返事はない。

「或人社長、中からの反応がありません。不在なのではないでしょうか。」
「いーや。見てて、イズ。」

そういうと或人は、勝手にドアを開けて中へ入っていってしまった。イズも後をついていく。

「んー…ゼアがアークと干渉することはなさげだけど…念の為早いとこ調整を入れてヒューマギア全域にアップデートをしかけて…。」
「はいはいはい！仕事熱心でありがたいんだけど、そこまでね。」

或人は、あなたの座っている回転椅子をパソコンから180度回転させて、あなたを強制的に休憩モードへと突入させた。

「…あれ？或人？入ってくるならノックしてよ。」
「だから、いつもしてるんだけど！？」

自社の社長であるはずの或人とタメ口。何を隠そうこの2人、デイブレイクが起こる以前からの幼なじみなのである。

「まったく…あなたは休憩とらなさすぎ！労働基準法違反してまで働かないの！」
「だって、衛星ゼアは絶えず動いているし、私がいなければヒューマギアの細かい調整をする者がいないでしょ？」

あなたは首をコキ、とならして或人を見る。或人の方は最初から呆れ顔で諦めていた。

「ヒューマギアや衛星ゼアの整備なら、整備士ヒューマギアが居ます。彼女が労働規約を違反してまで働く意味はありません。」

イズが或人とあなたにむかってそう言い放つ。

「わかってるよ、イズちゃん。だけど、ヒューマギアだって完璧じゃないでしょう？そりゃもちろん、人間である私の方が欠陥だらけと思われるだろうけどね。私がやることに意味があるのよ。」

あなたはこの仕事に誇りを持っているようで、優しい顔をしながらイズを諭した。
イズは不思議そうに首をかしげるばかりだ。