【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ39)

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黒の恋心 2019【時王/ウォズ】ページ39

ピピピピ…と鳴り響くアラームを、まだ起きていない頭で止める。

「あぁ…もう起きなきゃ…学校がぁ……。」

私は、クラスメートの常磐ソウゴくんが住んでいるここ、クジゴジ堂の空き部屋を貸していただいている。

タラタラと重い足取りで階段をくだると、既にゲイツくんとツクヨミちゃんは朝ごはんに手をつけていた。

「おはよう、ゲイツくんツクヨミちゃん。本当に2人は朝が強いねぇ…。」
「おはよう。あなたが弱すぎるだけよ。」

ゲイツくんにも、そーだそーだみたいな目線を向けられてしまった。
しかし、私よりお寝坊さんがひとり。

「おはよー…。」

いつも通りパジャマ姿のまま、目を眠そうにこすってソウゴくんが降りてきた。

「おはよう、我が魔王。今日は一段と眠そうに見えるね。」
「黒ウォズ…！朝から何の用だ！」

気づいたら近くにいたウォズさんの挨拶に、好戦的な返しをするゲイツくん。

「落ち着きたまえ。私は別に、君にケンカを売りに来たわけではない。」
「じゃあ、どしたの？」

私が、イチゴジャムをたっぷり塗ったトーストにかぶりつきながら尋ねる。

「今日は、我が姫に用があってね。」
「…え、私？」

一瞬聴き逃しそうになったけど、確かにいまウォズさんは「私に用がある」と言った。ちなみになぜウォズさんが私のとこを「我が姫」なんて呼ぶのかは、聞いたけどはぐらかされた。

「少しこちらへ来てもらえるかな？」
「うん？なんだろう…。」

言われるがままに、お店の外へ出る私たち。あんまりちゃんと支度してないから、長く外にいるのは気が引けるんだけどな。

「これを渡したくてね。」
「これは…？」

ウォズさんが取り出したのは、ひとつのネックレス。

「私のこの本によると、今日は君にとって良いことであり、私にとって悪いことが起きる。これはせめてもの魔よけだ。」

そういうとウォズさんは、そのネックレスを私につけてくれた。胸元で緑のストーンがきらりと輝く。

「魔よけ…？んー、なんだかよくわからないけど…ウォズさん、ありがとう。」
「礼には及ばないよ、我が姫。」

私が朝食を食べるためお店に戻ろうとすると、手を引かれた。

「えっ？」

そして、そのまま引かれた左手の薬指に、ウォズさんがキスを落とす。…私、パニック。

「高校生がリングでは目立つと思ってネックレスにしたけれど…、いつか近いうちに、この薬指にリングを贈らせてほしい。あなた。」

私が顔をあげた時には、もうウォズさんはいなかった。