【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ36)

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Eの習慣/気づかないうちに【探偵/フィリップ】ページ36

※学パロです。苦手な方は飛ばしてください。

いつも陰口をたたかれていた。
あの子は暗いから近づくな、あの子と関わると不幸になる、と。

諦めていた自分もいた。ここまで言われても何も感じない、事実そうなんだから仕方ない、と。

「君は、実に興味深い性格をしているね。隅々まで検索したくなる。」

彼は学年一の天才、兼学年一の変わり者。本名はあるのに、なぜかみんなに「フィリップ」と呼ばせている。

「言っていることの意味がよくわかりません。」

彼と私は席が隣同士で。彼はとても顔立ちが整っているから、いつも女の子たちに言い寄られていて、みんなそのついでに私の陰口をたたいていく。

「君は生きている人間でありながら、感情というものがほとんど表れない。ここまで完璧に自身の内面を隠し通せる人物はそうそういない。」

彼はいつも分厚い装丁の本を持ち歩いている。前に少し中が見えたけれど、どのページも白紙だった。

「感じていない感情は、表に出しようがありません。」

適当に聞き流していた授業が終わり、放課になる。彼は決まって隣のクラスの左翔太郎と下校していた。風の噂では、高校生にしてこの風都を守る探偵を営んでいるそうだ。

そうこうしているうちに、彼はクラスの女子たちに囲まれた。会話や質問を適当に流している。

「おいフィリップ！！はぁ…今日もかよ。さっさと帰んぞ。」
「あぁ、翔太郎。待っていたよ。」

周りの女の子たちに、また明日と微笑んで、彼はカバンを肩にかける。きっとその微笑みに他意はないのだろう。

「九重さんも、また明日。」

そして、なぜか彼は毎日毎日飽きもせずに、私だけ名指しで挨拶をしてくる。朝も帰りも。

「はい。また明日。」

私は毎日毎日、これしか言わない。
あぁ、今日も女の子たちの苦々しい視線が突き刺さって痛い。