【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ35)

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万丈に「とりあえず戦兎のとこ行ってこい」と言われたので、大人しくnascitaを出たあなた。

けれど、戦兎の行った先などわかるわけもなく、ただ街をふらつくだけに終わろうとしていた。

「ん…？あれ…あの寝癖は…。」

いくら撫でつけても飛び出てくる特徴的すぎる寝癖に見覚えのあるトレンチコート。間違いない。戦兎だ。

「戦兎ーー！」
「あなた？どうしたんだよこんなとこまで来て。」

あなたが素直に、万丈のアドバイスで来たことを伝えると、戦兎はまた少し不機嫌そうな顔になった。

「それって、俺がなんで怒ってたかまだわからないってことだろ？」
「んー…考えてはみたんだけどね。さっぱり。」

戦兎は、歩道の真ん中だというのに、大きなため息をついてがっくりとうなだれた。

「じゃあ、そんなあなたさんに質問です。」
「はい、なんでしょう。」

戦兎は、あなたに理解してもらえないとき必ずクイズや質問形式で聞いてくる。そのことをあなたもわかっていた。

「もし、あなたの好きな人が、自分より他の女の味方をしたら、どう思いますか？」
「それは…きっとモヤモヤすると思います！」

そうです、と戦兎は相槌をひとつ。質問は続く。

「もし、あなたの好きな人が、自分のところに来てくれた時に他の女の名前を出したら、どう思いますか？」
「うーん…それもきっと、嫌な気分になります！」

戦兎は「よし。」としゃっきり立ち上がった。自然とあなたの目線もあがる。

「じゃあ、最後はクイズ。さっきの2つの質問の「あなた」のところを「戦兎」に、「他の女」の部分を「万丈」に置き換えてみて？」

あなたは先程の戦兎の質問を反復しながら、言われた通りに置き換えてみた。

「…ぁ。」
「そろそろ正解がわかった？」

戦兎の、綺麗な顔があなたに近づいていく。

ちゅ…。

「そういうことだから。あんまり俺の前で他の男の名前出さないでよ…？」
「こ、こ、こういう時って、なんて言えばいい…？」

んー、そうだな…と戦兎は考えるフリをする。ほんとは答えなんてもう決まっているくせに。

「うん、やっぱりこういう時はちゃんと「好き」って言ってほしいかな。」

もしまだ好きじゃなくっても、絶対好きにさせるから。そんな一言を残して、戦兎はまたあなたに口付けた。