【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ25)

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「え……嘘でしょ……なんかイタズラだよね？ね…大翔……。なにか、なにか言ってよ……！」

私は、いつもと違う雰囲気の大翔に気圧されて、思わず床にへたりこんだ。
傍に美羽ちゃんが倒れていて、首筋にはくっきりと2つの丸い傷跡が残っている。

やっぱり、大翔は吸血鬼になっちゃったんだ…。
でも、どうして？いつから…？少なくとも、今日のお昼までは普通だったのに…。

「ぁ……あぁ…美羽じゃ…ダメだ…………。あなた…………。」

私に狙いを定めて、大翔はゆらゆらとこちらに迫ってくる。
逃げたいのに、逃げなきゃいけないのに。大翔の目が熱を帯びてて逃げられない。こんな場面で惚れた弱みか。

それでも、大翔が1歩ずつ近づいてくる度に、私も同じ分だけ下がる。ずっとそれを繰り返していたら、プールサイドまで来てしまった。

もう、後がない。

ついに、大翔の手が私に伸びる。これだけ怖くても、これから何されるかわかってても振り払えないのは、やっぱり私が大翔のことを好きすぎるから。

右手は肩から腰にまわされ、左手は私の頭をおさえる。
次の瞬間、首筋に強烈な痛みが走った。

「っあ………！！！」

思わず鈍いうめき声が漏れでる。けれど、大翔は私の血を吸い続けて止まらない。

どれくらいの血を吸われたのだろう。全然わからないけど、頭がぼーっとして、目の前がクラクラし始めたから、もうかなりの量持ってかれてるんだろうな…。

血を吸われた場所は1ヶ所じゃなくて。最初に噛まれた首筋の反対、腕、横腹、足にも数ヶ所…。数えきれないほど色んなところに牙がたった。全身が鈍く痛む。

そろそろ私も息があがってきたころ、ようやく大翔が口を開いた。