【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ3)

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「映司くん、そういうの疎いみたいだしね〜…。かっこいいけど、惚れた側は苦労が絶えないわね。」

「そういう時はね、もう思いっきり当たって砕けちゃえばいいのよ！」
「砕けちゃえば…って、そんな簡単に…。」

「簡単なことよ！自分の気持ちを隠さず相手に伝えるだけだもの。あなたちゃんなら大丈夫よ。」

まるでどうなるか分かっていてアドバイスしているかのように見える知世子。

「(どうせこのままでいたって、何も変わらないんだろうし…それなら…！)」

あなたはカウンター席から降りて、給仕している映司に声をかけた。

「あ、あの、映司くん。」
「？あなたちゃんどうしたの？あ、オーダー？」

紙とペンを出そうとする映司に、いつもより大きい声で尋ねた。

「ひ、比奈さんのこと…どう思ってますか！」

この声は、クスクシエ全体に響いて、比奈本人の元まで届く。比奈は突然自分の名前が引き合いに出されたことに、映司はいつも大人しいあなたが声をはりあげてそんなことを聞いてきたことに驚いた。

「えっ…と、比奈ちゃんのこと？いい子だと思うよ。夢に向かって勉強熱心だし、お兄さん想いで…。」
「じゃあ。じゃあ…私の、こと、は…？」

最後の方は周りの声にかき消されてしまうくらい小さい声だったが、あなたはなにかを決意した顔で映司を見つめる。対して見つめられた映司は少したじろいでいた。

「あなたちゃん…？あなたちゃんも、すごいしいい子だなって思ってるよ！」

答えは、比奈の時と大きな差のないもので。やっぱり私では…とあなたはひとり気を落とした。

「だから、その、どう思ってるかって聞かれたら、好き、だけど…。」
「…え？いま、なんて…？」

「いや、だから、あなたちゃんのこと、好きだよって。」

それは一体どういう意味合いなのか。いい子だから好きなのか、それとも。

「比奈さんは？好きですか？」
「んー、もちろん比奈ちゃんのことも好きだけど、あなたちゃんに思う好きとはちょっと違う感じで…なんて言えばいいか、わからないけど。」

「俺、あなたちゃんのこと、一人の女の子として好きなんだと思う。」
「………そう言ってもらうのに、1年かかりましたよ…！」

その日の閉店後、クスクシエで映司とあなたの両思い記念パーティーが開かれたのは、また別のお話。