【短編集】誰かと甘いひとときを【仮面ライダー・戦隊】 (ページ2)

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愛と鈍感と純真無垢【欲望/映司】ページ2

キィ…。

「あ、いらっしゃいま…ってあなたちゃん！今日は来る時間はやいね！」

ここは多国籍料理のお店「クスクシエ」。今日は中国フェアをしているようで、知世子も比奈も映司もチャイナ服でのお出迎えだった。

「こんにちは、映司くん。今日は2コマしか授業とってなかったので、お昼はクスクシエでとろうかと思って…。」
「そうだったんだ、大学お疲れ様！はいこれ、今日のメニュー。」

こうしてみると2人ともただ仲のいい友人のように見えるが、あなたが映司に対して抱いてるのは友情だけではなかった。
カウンターの1番左。あなたお気に入りの特等席へと腰掛け、オーダーする。

「あらあなたちゃん。今日は早いのね…って、どうしたの？なんだか思い悩んだ顔してるわ…。」

カウンターから出てきて早々にあなたの心配をしてくる知世子。あなたは「えぇ…まぁ…。」と歯切れの悪い返事をしながら、映司の方を見やった。

「映司くん、あのテーブル、オーダーお願いします！」
「はーい！比奈ちゃんは向こうにこれ持ってって！」
「わかりました！」

にこやかに、テキパキと仕事をする映司と比奈。
毎日毎日クスクシエに通っているけど、あの2人がケンカしているところに遭遇したことなんて、1度もなかった。

「…その様子じゃ、恋のお悩み…ってところね？？」
「やっぱり、わかりやすいくらいわかりやすいですよね？私…。」

いつも思いを向けているのは、そこで笑っている青年ただ1人なのに。周りは全員その事に気づいてるのに。肝心の張本人がてんで気づかない。次第にあなたの気持ちは諦めの方向へと向かっていた。