好きになったら君の負け。【urt】

＊ ページ32

外に出ると、さっきから曇っていた空から雨が降り始めた。

『うわ。最悪。』
「何？お前、傘持ってきてないの？」
『うん。』

そう答えると、溜め息をつき出すうらた。

どんな顔をしているのかは、綺麗なアップルグリーン色の傘で隠れているから見えない。

だか、絶対に嫌そうな顔してるのは分かる。

「仕方ねぇな。」そう呟いて傘を差し出すうらた。

『え？』
「相合い傘、しよ。」

少し頬を桃色に染めてそう言ううらた。

え？誰？これ本当にうらた？偽物じゃなくて？？

『お、お邪魔しまーす…。』

そうして私達は歩き出した。

少し遠慮しているが、これだとうらたの肩が濡れてしまう。

まぁ。傘持ってこなかったの私だし。ここは優しくしてやろう。

『うらた。うらたの肩濡れちゃうから、うらたの方に傘やっていいよ。』

ふっ。やっぱり私はいい子だな〜。

「ん、じゃあさ…。」

そう言ってくっついてくるうらた。

それから、

「もっと近くに寄ればいいんじゃない？」

そう囁いてきた。

うらたの顔をそっと見ると、少し意地悪そうに笑っていた。

『…何。』
「お前顔真っ赤じゃん。」

その言葉に恥ずかしくなって、私は駆け出した。

「ちょ、お前！風邪引くぞ！」

今のままでも風邪引くわ！と心の中で叫びながら私は家に帰った。

14.風邪。→←13.相合い傘。

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