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「すみません、こんなことに付き合わせてしまって…」
深々と彼女は頭を下げた。
「こっちこそごめんね、私が佐倉さんのデジカメ壊しちゃったから…」
「わ、私の不注意です…、」
そう、櫛田さんは僕と同じように佐倉さんに話をかけるが、うまく行かず、
バランスを崩しカメラを落として電源が付かなくなってしまったらしいので、
修理に一緒についてきたということだ。
「俺必要か?」
『 まぁいいんじゃないかな?にぎやかで楽しいよ! 』
櫛田さんのお友達として、また佐倉さんの友達として、僕は付き添いに来た。
「実は…」
家電量販店にて_
修理を頼めるかどうか店員に聞くことになった。
その店員は変な様子で、あまりにも落ち着きがなかった。
喋り方や、仕草が、たしかに佐倉さんだけだときついところがある。
それに、櫛田さんだけだと、女性の勘なのかはわからないが信じ切れていないのが伝わる。
「あー…これ、はダメだな、あーそうか、電源?電源系か…?ほ、保証書は?」
佐倉さんは保証書を出し、声を出せないでいた。
微かに震えている。
「ああ、あ〜!保証期間内だ!、これなら無償で…、、、交換できますよ?」
ねっとりとした声、視線にビクっと身体を動かした彼女。
「用紙に、必要事項を記入して、住所と、名前と携帯…ばんご〜ッ。」
「 ッっ…!!! 」
『 …佐倉さん、大丈夫? 』
明らかに手が震えている。
僕は彼女の手を握り、優しく笑いかけた。
「 Aさんッ… 」
「ちょっといいか…?、修理が終わったら俺のところに連絡ください。」
気づけば、佐倉さんのペンを横から取り、綾小路くんが記入を行っていく。
「ちょ、ちょっと君、こ、このカメラの所有者は彼女だよね、それちょっと、…」
「メーカー保証、購入日、問題なく証明されています。保証書は数十秒前にあなたが確認しました、
法的な問題はどこにもないと思いますが…?」
店員は不服そうな顔をしたが、なんとか僕たちは乗り切ることに成功した。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2022年10月10日 23時