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人は時に、自分を隠し。
ナニカを守ろうとする。
弱い自分を隠すため？
誰にも見せたくない顔を、笑顔で隠して。
本当に自分がやりたいことを、どこかに隠して。
僕は、櫛田さんがどんな姿だろうと、所詮は人間で、
完璧な人間ではないことを知っている。
誰もがそうだ。
きっと。
人間だれしも、悪いところを持っていないわけじゃない。
それを受け止めてあげられるか、
受け止めてあげられないかの違いだ。
あの後、僕の部屋の近くまで送ってもらった。
『 …はぁ、落ち着いた。 ごめんね。 迷惑かけちゃって。 』
「 いや…いい。あんなことがあったんだ。少しくらい気を落としても大丈夫だろう。 」
『 …うん、ありがとう。 綾小路くん。助かったよ。
でも、驚いちゃったなぁ…、あんなふうに櫛田さんが思ってるなんて。… 』
普通の女の子なら、お友達だと思っていた櫛田さんが、
あんな発言をするとなると、うつむきながら話すのが一般的だろう。
「 なぁ…、A。本当はお前、なんとも思ってないんじゃないか？ 」
…
一時の沈黙。
「 うん、そうだね。…。なんでわかっちゃうかな。 」
そう、僕は彼女になんらかの裏の顔があるのを知っていた。
似た何かを感じたのだ。
間違いなく、彼女は表情筋を動かしていた。
そして、それが同族嫌悪。
「 …櫛田のことをさん付けして呼んでいたのもそういうことか…。 」
『 僕トモダチ付き合いがにがてでさ〜、参ったもんだよ。 』
これ以上、探られないように、見破られないように。
「 そうなのか？割と誰とでもAはうまくやっていけそうだけどな。櫛田を除けば。」
『 …そうかな、まぁ今日は遅いし！部屋まで送ってくれてありがとうね！ おやすみなさい！ 』
「 あ、あぁおやすみ。 」
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作者名：匿名希望 | 作成日時：2022年10月10日 23時
