流行 ページ4
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「Aって、何考えてんのか全くわかんない」
本を読んでいた私に声をかけたのは、優香ちゃんだった。
優香ちゃんとは高1の時に出会って、今では一緒に行動している。
明るくて可愛い女の子。
仲の良い友達が少ない私にとって、とても大切な存在だ。
「んー、そうかな」
「そうだよ。今だってわかんない」
「特に何も考えてないよ。私は優香ちゃんが考えてることの方が分からないなぁ」
「えぇー?知りたい?」
「うん、知りたい」
優香ちゃんはニヤニヤしながらポケットから携帯を出し、何やら調べ物をし始めた。
また、何かにハマったのかな。
優香ちゃんは熱しやすく冷めやすい。
新しいブームが到来したわけか。
「これこれ!東海オンエア!」
東海オンエア?
どこかで聞いた事あるような…。
優香ちゃんの携帯を覗き込むと、そこにはてつやさんと他何人かの男の人が映っていた。
「てつやさん…」
「え、もしかしてAも好きなの!?」
「…いや、ここに名前書いてあるから…」
「もう〜。なんだよ〜」
本当は知っているけど、私がキャバクラ経由でてつやさんに出会ったなんて言うと、きっと優香ちゃんは驚いてしまう。
キャバクラで働いていることすら誰にも言っていないのに。
それに、私は"小柳津徹也さん"のことは知っているが、東海オンエアの"てつや"のことは知らない。
調べるのも忘れていたな。
「Aって、そういうとこあるよね〜」
「そういうとこって、どういうとこ?」
「ほら、Aって流行ってるものとか有名人とか全然知らないじゃん!」
「そう…だね。あんまり興味がないっていうか」
「なんで〜?面白いのに」
「食わず嫌い、ってやつかな?」
「ほんと勿体ないよ、Aめちゃくちゃ可愛いのに。今すっぴんでしょ?可愛すぎだっつーの」
「可愛くないよ。可愛かったらもっといっぱい友達いるもん」
「それこそ、流行ってることとか全然知らないからだよ」
興味ないものをわざわざ知って友達増やすくらいなら、少し仲が良い人が数人いる方が良い。
会えない人を好きになる感覚を、私はあまり知らないからかな。
「とりあえず、東海オンエア!見といてよ〜。私の新ブームなんだから!しかも、ここ東海オンエアの母校だよ」
「そうなんだ」
てつやさんもこの学校に通っていたということか。
私と同じ、この空気を吸って、同じ行事を楽しんで。
この教室を、使っていたのかもしれないのか。
ごく微小の違和感を感じた。
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フラワー(プロフ) - 了解です。テスト頑張って下さい。更新楽しみにゆるゆると待ってます。 (2019年6月16日 1時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
夜行性(プロフ) - フラワーさん» ありがとうございます!頑張ります!今私がテスト前で、更新がなかなかできません…。すみません!落ち着いたら続きだします! (2019年6月14日 21時) (レス) id: 04a8f1658b (このIDを非表示/違反報告)
フラワー(プロフ) - はじめまして、大人感じよかったです。続き楽しみです。頑張って下さいね! (2019年6月14日 9時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜行性 | 作成日時:2019年6月5日 6時