Agreement ．【完結】

14.お前寝ろ。 ページ15

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渡海先生は、なんだお前かって感じで
ベンチの端に座って、タバコに火をつけた









途端に香る、タバコの苦い匂い
渡海先生の顔が、煙に隠されて見えなくなる









「お前、死んだ顔してる」

「⋯え、あ⋯そうですかね？」

「そうだから言ってんだろーが」

「⋯オペのせいかもしれません。なんか⋯疲れちゃって」

「あんな大したことないレベルのオペ、出来て当然だろ。あんなんで疲れたのか」

「⋯そう、ですよね。出来て当然ですよね⋯」

「やっぱ顔死んでんだけど。もうすぐ死ぬのか？」

「⋯」

「⋯はぁー⋯」









タバコを吸い終わった渡海先生は、
ため息をつくと私の腕を引っ張って、医局の仮眠室に連れ込んだ












「⋯なんですか？」

「お前寝ろ」

「⋯え、」

「今のお前じゃ頼みたい仕事あっても使えねんだよ。いいから早く寝ろ。ただし俺が呼んだらすぐ起きろ」









渡海先生がいつも寝転んでいるベッドに座らされて
雑に毛布を投げられて、頭にかかる









渡海先生はソファーでパソコンをパチパチと打っていて
私の方には見向きもしないまま、真面目な横顔









素直にベッドに横になって、毛布を頭からかぶると
タバコの匂いと混じった、渡海先生の匂いがする









相当疲れが溜まっていたのか、
私はそのまま、意識を手放した









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