対面 ページ17
……そ、空耳かな。
空耳だったらいいな。
いや、お願いだから空耳であって下さい……。
祈りながら、恐る恐る振り向いた先には、やっぱり我が弟、チャンミンがいた。
腕を組み、リビングのドアに寄りかかり、鋭い眼光をこちらに向けた弟が。
「な……、なんでいるの!?」
今日は帰って来ないって……、お友達の家に泊まるって言ってたのに……。
「Aちゃん……誰?」
私とチャンミンを交互に見たユノ先輩が、小さく眉を動かした。
「あ……、えっと、チャンミンは私の、ひゃっ」
弟です、と言葉にする前に、ズカズカと歩いてきたチャンミンにグイッと腕を引かれ、目の前には大きな背中が。
私を隠すようにそびえ立ち、ずいっとユノ先輩に詰め寄った。
「あんたこそ誰?ここで何してんの?」
チャンミンの不躾な態度に面食らったように、ユノ先輩の目が丸くなった。
「ちょ…っ、やめてよチャンミン!」
「……あぁ。もしかして、この人がAの言っていた、俺の知らない
振り返り、私を見下ろすチャンミンの目が、丸みをなくして細くなる。
……あぁ。知ってる。こんな目をするチャンミンを、私は何度見てきただろう。
「……ごめん、チャンミン。私嘘ついた」
「うるさい。黙って」
「ううん、チャンミン聞いて。ユノ先輩は友達なんかじゃなくて、私の、」
「A」
私の言葉を遮ったチャンミンが、振り返り私の両肩を掴んだ。
「なんで……っ、なんでだよ……。なんでAは俺の気持ちが分からないんだよ……っ」
さっきまで、怒りで血走っていたチャンミンの目が、うるうると潤んでいく。
「……ごめん、チャンミン」
手を伸ばし、私よりずっと大きくなった身体を抱き締めた。
ごめん。本当にごめんね、チャンミン。心配させてごめん。
わかってるよ。
私、チャンミンの気持ち、ちゃんとわかってる。
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ち - はじめまして!アラサーペンのわたしですが、こんな高校時代を過ごしたかったとキュンキュンしてしまいます。更新楽しみに待ってます(^^) (2021年1月24日 10時) (レス) id: c2ed9163db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年6月23日 16時