☆｡･:*東方学園2*:･ﾟ'★ (ページ19)

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理由ページ19

住宅街の中にある小さな公園のベンチに、二人で並んで座った。

時計は9時を少し回ったばかり。しかもクリスマスだというのに、辺りはやけに静かで。

さっきまでの嬉しい気持ちや幸せな気持ちが、この白い息と一緒に消えていってしまいそうで、少し怖くなった。

｢……Aちゃん、大丈夫？寒くない？｣

｢大丈夫です｣

必死に走ったせいか身体は全然寒さを感じなかった。

それよりも、何からどう話そうか……そればかりを考えた。

｢あの……っ、今日は本当に…っ｣

｢Aちゃん、ゆっくりで大丈夫だよ。ちゃんと聞くから……｣

いつもと同じ、穏やかな先輩の声だけど、その笑顔はどこか悲しそうで。

こんな日に……。
ずっと楽しみにしていたクリスマスの夜に、ユノ先輩にこんな顔をさせてしまうなんて、自己嫌悪で泣きたくなる。

……ちゃんと話そう。
例え、嫌われたとしても、離れて行ってしまったとしても。
ユノ先輩には、ちゃんと。全てを……。

｢ユノ先輩に、話さなきゃいけないことがあるんです……｣

大きく息を吸い込んで話し始めた私に、ユノ先輩は黙ったまま、ゆっくりと頷いた。

白い息が、ふわふわと揺れながら上って行く。

｢さっき会った子……チャンミンって言うんですけど｣

｢…………うん｣

｢チャンミンは、私の弟なんです……｣

緊張で小さくなってしまった私の声に、少し間を置いてから、ユノ先輩が反応した。

｢…………弟？｣

｢はい｣

｢弟？本当に弟？｣

｢……はい｣

頷く私の隣で、少しの沈黙の後、ユノ先輩が脱力したように大きく息を吐き出した。

｢なんだ、弟だったんだ…。俺、てっきり……｣

……ユノ先輩が、どんな勘違いをしたのかはわかってる。

今までも、何度も誤解されてきたから。

｢……チャンミンが、あんな態度を取るのには、理由があるんです……｣

｢……理由？｣

……そう。チャンミンが変わったのは、私のせいだ。

私のあんな姿を、チャンミンに見られてしまったから。

｢……私、小学生の時にイタズラされた事があるんです……｣